以前から合法化が論議されてきたカジノ。先進国ではいまだ日本だけが合法化されていない。マカオ、シンガポールでは、税収と観光客誘致の両面で成功している。日本でもようやく検討が進み、創設への路線を歩もうとしている。
日本でのカジノは、観光振興、地域活性化を促進する一手となれるのか。国際カジノ研究所の木曽崇所長に聞いた。
<解禁への路線進む>
マカオなどアジア各国で成功例が出ているなか、日本でもカジノ合法化に向けた動きが本格化している。民主党、自民党など国会議員150人による国際観光産業振興議員連盟(IR議連)によって、特定複合観光施設推進法案(カジノ法案)の国会提出の調整が進んでいる。
与党と野党のタイミングさえ合えば、カジノ法案は、早ければ、この通常国会に提出され、その後、審議を経て、合法化される公算。日本でのカジノ研究の第一人者、国際カジノ研究所の木曽崇所長は「合法化する路線で法案の検討が進んでいます。政策的には合意の方向にあり、現在、タイミングを見ている段階です。この通常国会、あるいは臨時国会に提出されて成立というのがベストですが、政局が荒れているので、いつ提出されるかは未定」と語る。
IR議連では、シンプルに『カジノを観光振興政策にする』という大きな目標を置き、観光促進のために法案を通過させることを目指している。「あえて法案をシンプルにしています。なぜかと言うと、細かい条項を現在の段階で決めていると、どう運営するかなどの手法論で合意できずに法案そのものが国会を通らないことになるからです」(木曽氏)
場所、運営する企業などは未定ながら、カジノを持つ複合的観光施設として開業する場合、建設、交通インフラ整備などの大規模な初期投資が入ってくることが魅力。加えて、カジノ関連産業の雇用の増加も見込める。実際の開業はまだ先になるものの、カジノでの収益は、東日本大震災復興の財源として活用できる。国際的な観光振興を売りに、法案成立への道を切り開く。
<カジノは国際標準>
真面目に議論をされている議員さんたちには大きなお世話かもしれないが、ここで少しだけギャンブル論を展開する。競輪、競艇、パチンコの日本のギャンブルは、日本だけで独自に進化したガラパゴス。日本に観光に来た外国人にとっては取っつきにくい。珍しさはあっても、英字の競輪新聞なども発行されておらず、よく分からないものに対して外国人は賭け金を突っ込むことはしない。カジノは、世界120カ国以上で合法化されており、いわば国際標準規格。ブラックジャック、バカラなどはいわばギャンブラーの国際共通言語とでも言うべきものであり、外国人にとっても取っつきやすい。仮に24時間営業するならば、昼も夜も楽しんでもらいながらお金を使ってもらえる便利な代物だ。
反対の声もあるなか、果たして、合法化はなるのか。解禁になったとすれば、日本でのカジノはどのようなものになるのか。
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