<新しい方向に舵を切る中国>
今年は「日中国交正常化40周年記念」の年である。4月には東京で記念式典も開催される。
4月2日、中国海南省で開催された「ボーアオアジアフォーラム」(※注1)で次期首相と言われている李克強副首相は「相違や争いがあっても、友好関係維持の対局に立てば、対話を通じて、解決できる。それがアジアの世界の幸福だ」と演説。23分の演説終了後、大きな拍手が湧き上った。中国が新たな方向に舵を切る、その熱い思いが会場に伝わったことによるものだ。李副首相は、北京大学卒の経済学博士で実務能力が非常に高いと言われている。今回はその存在感を充分にアピールすることに成功した。
現在、日本と中国は経済交流において、欠かせないパートナーとなっており、その必要性は増加傾向にある。大企業に限らず、中小企業も中国への進出、中国との取引は避けて通れなくなっている。
その一方で、すでに進出し、取引をしている企業の中には、うまくいっていないところも多い。中国側が不誠実で、「だまされた」という話さえ聞こえてくる。
そこで最近、新聞や週刊誌などで話題になっているのが、"香港から攻めろ!"とか"台湾から攻めろ!"という話だ。つまり自分たちは、直接中国人と取引せずに、香港、台湾を
間にはさむという考えだ。
これは本当に正しい姿勢なのだろうか。いや、正しい姿勢であるわけがない。こんな当事者不在の発想が出るのは、世界で日本だけだ。完全に、"平和ボケ"している。大企業はどんぶり勘定だからいいのかも知れないが、中小企業はそれでは絶対に生き残れない。
では、どうすればよいのか。そこで、日本に20年以上住んでおり、しかも皆さんのとなりにいる新華僑・華人にお知恵を拝借しようというのがこの企画である。
| (中) ≫
※注1:「ボーアオアジアフォーラム」はスイスのダボスの「世界経済フォーラム」のアジア版で、2002年に始まっている。
※注2:新華僑とは、80年代以降に来日、中国国籍のまま日本に滞在。華人とは日本国籍(帰化)した中国人のことを言う。
※記事へのご意見はこちら