<収益面で大きく飛躍したマカオ>
成功例として、マカオのケースを見てみる。マカオは、ラスベガス、アトランティックシティのようなカジノ都市。そのギャンブルの歴史は長く、カジノは1962年にできたと言われている。世田谷区の約半分ほどの狭い地域に、地元のリスボア(澳門博彩股份有限公司が運営)、サンズ、ウィン、MGMグランドなど華やかな32のカジノが集積している。
「東洋のモンテカルロ」と呼ばれたのは、もはや昔の話。いまや、売上ではラスベガスをしのぎ、世界一に立っている。2004年から米系のラスベガス・サンズ、ウィン・リゾーツ、MGMなどの投資が入り、06年に世界遺産に登録された効果もあって、観光客が急増。観光業とカジノ関連産業がうまく組み合わさって、マカオの経済を支えている。
<米系の投資が入り活況>
米系ラスベガス・サンズが投資したベネチアンマカオリゾートホテルのケースでは、以前は何もない湿地帯だったところに、テーマパークのようなホテルが立った。フォーシーズンズホテルがそのすぐ近くに入り、ブランドショップ、レストランの並ぶショッピングモールができた。ホリデイイン、シェラトンなど続々とホテルがオープンし、周辺は活況。建設時の雇用、開業後のホテルスタッフ、カジノのディーラーなど多くの雇用を生んだ。
ここ数年の中国本土の経済発展もあり、多くの中国人観光客がマカオを観光。11年のカジノの年間総収入は約2兆6,000億円とケタ違いの数字に上り、過去最高を記録した。マカオ市政府の税収の80%以上をカジノが稼いでいる。
世界遺産を持つ観光地だけあって、交通インフラの整備に余念がなく、香港とのフェリーでのアクセス整備だけでなく、空港にはエアアジアなどのLCCも入っていて、アジア各国からのアクセスもいい。カジノを軸にした娯楽産業を発展させ、外国人観光客を引きつける集客力を強めている。
はたして、これまで蓄積のない日本に、いきなりマカオのようなカジノが集積する娯楽都市を出現させることができるのか。答えは否。日本では、マカオ、ラスベガスのような集積したカジノ都市をどこかに作ろうと模索しているわけではない。日本のカジノが目指すべき方向は、国際的な観光振興であり、お手本にすべきはシンガポールだ。観光振興策の一環として、複合施設のなかにカジノを設置し、観光客と投資を呼び込み、その地域の経済活性化への刺激策とするのである。
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