今年7月より始まる再生可能エネルギー全量買い取り制度について、経済産業省「調達価格等算定委員会」が太陽光発電1kwhあたり42円の買い取り価格とする方針であることが明らかとなった。この金額は太陽光発電事業者の意向を強く反映したもので、太陽光発電の普及も勘案した結果だという。
さて、実際に買い取り価格が42円になれば、どういうことになるか考えてみよう。太陽光パネルは夜間発電できず、天候によっても発電量が左右される。たとえばメガソーラー大牟田では3,000kwhの最大出力を誇り、これを年間発電量に換算すれば3,000kwh×24時間×365日=2,628万kwhとなるはずだが、先程の減少要因を考慮に入れて計算した結果、九州電力が発表した想定年間発電量は320万kwhである。したがって、発電効率は最大発電量の12%程度ということになる。
これを仮にロス係数と呼ぶことにする。メガソーラー大村(今夏より稼働予定。最大出力1万3,000kwh。想定年間発電量1,320万。長崎県大村市。事業者は九電の子会社キューデン・エコソル)のロス係数は0.11だ。つまり、発電能力は最大発電量に24時間と365日とロス係数0.15(今後の技術革新も期待して少し多めに設定)をかけた数値と見る、ということができる。
少し計算してみよう。
1,000kwhのソーラー発電所があったとする。その場合、想定年間発電量は先の計算式によると年間131万4,000kwhとなる。この数字に経済産業省が算定している価格42円をかけると、年間5,518万8,000円が年間の売上となる。ソーラーパネルは20年以上の耐用年数があるとされているので、20年をかけると、11億0,376万円となる。これ未満の投資金額ならば、設置を検討すべきと言う結論になる。
家庭用ならば、10kwh未満のケースがほとんどだろう。10kwhならば、単純に桁を二つずらして年間55万に20年をかけて1,100万円、1kwhならば年間5万5千円、20年をかけて110万円が生み出されることとなる。投下金額がそれ以下ならば投資すべし、ということが同じく言える。ロス係数を少し多めに取っているため、もうちょっとシビアに考えた方がいいかも知れないが。
全量を買い取りしてくれるということは、言いかえると在庫リスクはない、ということだ。事業としては理想的な投資対象となり得る可能性を秘めているのである。
加えて、予測されているソーラーパネルの価格低下も後押ししそうだ。価格低下予測の根拠は中国製パネルの日本での普及である。主に中国国内向けに生産をしているメーカーが日本に乗り出してきたならば、さらに安くできると言われているのである。するとさらに利幅が大きくなり、より魅力的な投資対象になるだろう。
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