<東日本大震災でも繰り返された菅直人の無能ぶり>
平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災でも、菅直人首相の対応は、一国のリーダーとしての資質もなければ、覚悟もなかった。
今回も安全保障会議を招集するわけでもなく、まったく機能しない対策本部や会議体を多数設置するだけで、災害対策基本法に基づく中央防災会議さえも開こうとしなかった。
阪神・淡路大震災以降に内閣官房に設置された危機管理監を指揮命令系統から排除し、不必要なパフォーマンス(福島原発視察など)や、ひんしゅくを買う発言以外は、執務室に籠って新聞・雑誌を読みふけるだけで、リーダーとしての適切な指示・判断もできなかったのである。市民派出身の政治家の限界を露呈した格好だ。
<民主党政権は国民を守る気があるのか>
民主党の議員の実態については、以前も「濱口和久『本気の安保論』」でも書いたが、民主党議員のなかで、国家の危機管理や安全保障について真剣に考えているのは長島昭久氏ぐらいである。
自民党政権時代にも危機管理の不備がたびたび指摘されてきたが、民主党政権ほど酷くはなかった。民主党政権が誕生して、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と3人の首相が誕生したが、危機管理の要諦を理解しているとは到底思えない行動が続いている。
野田氏にいたっては、首相就任当初、鳩山氏、菅氏と違い危機管理のセンスがあると言われていただけに、まったくの評判倒れであった。
北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射は、日本の領土、領海に被害が出なかったが、次回も被害が出ないという保証はどこにもない。危機管理なき政治は、砂上の楼閣と同じである。
このまま民主党政権に日本の危機管理を委ね続ければ、国民の犠牲者が出るのも時間の問題かもしれない。
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ。
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