9日、東京電力の総合事業計画が認定された。計画では、国による1兆円規模の公的資金を投入し、実質国有化する方針。新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働も明記されている。11日には、一般家庭向けの電力料金の10.28%(月約480円)の値上げを申請。経産省の審査と並行して、有識者によるコストの妥当性を評価する査定が行なわれ、認可されれば、7月にも実施される。
一般の企業であれば、会社更生手続きによる破たん処理へと進むケース。大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は、ツイッターで「東電を一旦破産させた方が、何から何まですっきりする。事業自体は当然継続させれば良くて、責任をはっきりさせる(以下略)」という声を上げている。現在のモヤモヤ感のある進め方よりも、破たん処理に入る方が確かにすっきりしそうだ。
値上げもそうだが、今後のエネルギー政策を考える上で、原発再稼働の問題は、もっと国民の声をくみ上げた議論がなされるべきではないだろうか。国民の声の反映されないところで、ひっそりと進行していっていいのだろうか。国民の意見はどうなのか。東京都内で、街の声を拾ってみた。
「東電は本来なら、一度、倒産させてもおかしくない。なぜ、JALは上場廃止にして経営を立て直したのに、東電では同じことをやらないのか。国や東京都が東電の株を持っているからなのか。明らかにしてほしい」(30代・男性)
「再稼働に関して、直接事故を起こしたわけではないイタリアが国民投票を経て決めているのに、日本は、これでいいのかな」(30代・女性)
「国にしても電力会社にしても、これまで培ってきた原発の施設や技術を捨てたくないのはわかる。脱原発派の人たちもすぐに捨てろとは言ってないだろうし、発送電分離などを含めて電力供給に関してもっとゼロからの議論がなされてもいいと思う。簡単ではないだろうけど...」(50代・男性)
「値上げをすることになりそうだが、本当に、その値段でしか供給できないのか。テレビなどで出ているデータに関しても、何を信頼すればいいのかわからなくなってきました(苦笑)。信頼できてリーダーシップのあるリーダーに現れてほしいと思います」(20代・男性)
一方で、東京電力は、夏のボーナス支給を見送るなどのコスト削減の処置を取っているが、実際にボーナスカット分のお金がどこに使われるのかは見えてこない。
これに対しては、「東電の社員もかわいそうですが、仮にほかの企業が倒産したとしたらボーナスなどない。住む家があるだけいいですね。住む家を追われた福島の方々のことを考えると、ある意味、当然」「遅すぎるぐらいだと思う」「カットした分を、原発事故で避難されている人たちに賠償一時金として早急に支払うべき」など厳しい意見が並んだ。
ほかにもさまざまな意見があるだろうが、多くの人が今のやり方に疑問を抱いているのは確かだ。
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