昨年、日本にいる清華大学卒業生・企業家達は、「清華大学企業家協会(TEEC)・日本支部」(徐志敏会長)を設立した。孔氏は副会長に就任している。
清華大学校友会は、北米の4万人を筆頭に、世界40カ国に及ぶ。日本校友会も400名を超えるメンバーを抱える。
そして「清華大学企業家協会」は同大学卒業の企業経営者が結成したビジネス相互支援の組織である。メンバーは世界中で、数百人おり、本部は北京にある。
筆者は、読者に代わって、孔氏に、「なぜ、この時期に?」と聞いた。日々の新聞で、日本の経済停滞が叫ばれており、日本企業も、大企業を中心に、中国に限らず海外市場に進出を果たし、さらに失敗して帰ってきている企業もあると聞く。大メディアは、中国進出はもう遅いような報道さえしているのだ。
孔氏は自信を持っていう。「まさに、今が日本の"中小企業"にとって最大のチャンスなのです。政治の問題とか、文化の問題とか顕在化している問題はたくさんあります。しかし、それはどの国と取引しても同じでしょう。何よりも、日中間は、過去もこれからも地政学的に、"一衣帯水"で切っても切れない関係です。私は、来日して24年、日本国籍も取得しました。しかし教育は中国で受けましたし、文化的バックグランドも中国です。だから、お役に立ちたいのです」
さらに「今は、日本の中小企業は、日本以外の市場を開拓せずに、生き残っていくことは難しいと聞いています。一方、中国では、いつまでも、ものまねばかりではなく、民間企業はレベルアップを真剣に考えています。国の政策も、その方向を裏づけています。
おそらく、日本の多くの方が考えておられるよりずっと早く、加速度もついて、大きく様変わりしてきます。」という。何か、とても強い援軍を得たような気がした。
孔氏は2009年から、現業と並行して、中国証券監視管理委員会(中国財務部<日本で言うと財務省>管轄)など中央政府の主要機関や、日中の地方自治体、日中の大学等での講演を積極的に行なっている。中国証券監視管理委員会で幹部職員向けに行なった講演は、質問が続き、1時間の予定が2時間30分まで延びたと聞いている。
さらに、孔氏直系76代目として、「日中文化塾」を主宰し、「論語」の普及に努めている。昨年は、新疆自治区の国家重点大学「石河子大学」で学生300名に対して講演を行なった。日中を忙しく行き来する毎日である。今後も、孔氏の日中経済交流促進のための様々な尽力に期待したい。
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