<九電力のビジネスモデルの崩壊>
Aさん!!民間パワーは恐ろしい変革を推進していますよ。
原発利権組織にぶら下がっている連中は、「東京電力を頂点とした九電力体制を守らないと、日本経済はめちゃくちゃになる」と警告を発しています。この九電力体制が構築されたのは、1951年からです。60年が経過した組織は、制度疲労を起こしています。九電力は国家からも守られるうえ、競争の原理も働かない"お役所組織"でありました。
九電力の親分格・東電は、実質的に破綻しました。では、ほかの八電力会社の実体はどうなのでしょうか。
これについても、似たり寄ったりと言えます。2012年3月期における九電力会社の最終利益の赤字総額は、1兆円に達する見込みです。東電は政府からの援助金を利益に繰り入れる画策をしていますが、これがなければとても決算できない、とんでもない巨額の赤字になっていました。13年3月期の九電力の赤字総額は、12年3月期の2.7倍となる2兆7,000億円が見込まれます。
<九電の2013年3月期は、3,000億円の赤字もあり得る>
九電の場合は、筆者の予測通り1,500億円を超える赤字を出しました(【資料】12年3月期の連結損益計算書、貸借対照表参照)。連結の売上高は1兆5,080億8,400万円、営業利益は▲1,848億5,400万円、経常利益▲2,135億3,400万円、最終当期利益▲1,663億9,000万円になっています。もし、原発再稼働が今年いっぱいされないならば、九電の13年3月期の赤字は3,000億円を超える予測も考えられるようです。
もともと原発ビジネスのリスクを想定した場合、とても民間企業が行なうような事業ではなかったのです。また、「電気を起こす」と言うと、さも仰々しく感じられます。しかし、単純に考えれば物事は簡単です。それなのに、電気を発生させるために物理学上の最先端の原子エネルギーを使ってモーターを回すということ自体が、仰々しいではありませんか。人の力では制御不能な原子エネルギーが怒り暴れる事態になれば、東電ですらアウトになることを我々は目撃しました。
原発頼りの電力ビジネス=九電力の売上総額は、15兆円を超えます。この15兆円規模のビジネスモデルが、福島原発事故1発で消えるのですから恐ろしいことです。政府はまずは、送電を管理する会社を設立させ、既存九電力から分離。そして、日本9地区に割拠する九電力を解体させて、新規参入ができる土壌を整備させることだと思います。利用者の立場から見れば、供給される電気について複数の電力会社からの選択権を持つことは当然の権利であります。政府の視点も、利用者に選択の幅を与えるような電力供給システムを優先すべきでしょう。
Aさんも政治の世界で、このくらいの変革の旗手として羽ばたいていただきたいものです。
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