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出揃ったファストファッションを検証する~迎え撃つ日本勢はどう戦うべきか(1)
流通
2012年5月16日 11:30

 4月18日、東京・原宿に洋服の青山がFCで運営する「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」が日本初上陸を果たした。これで数年来続く外資系の低価格衣料品チェーンがほぼ出揃い、迎え撃つ日本勢との戦いはますます激しさを増す。大手メディアは「価格が安い衣料品ブランド」をすべてファストファッションのごとく紹介しているが、それは大きな誤解だ。ここでは各社のポジション整理をしながら、戦略の行方を検証する。

<速く、安く、おしゃれで日本市場を激的に攻略>
0516_fs.jpg 2008年9月にスウェーデンのH&Mが東京銀座に上陸し、翌年4月には米国のフォーエバー21が原宿に開店して一気に火がついたファストファッション。しかし、衣料品の製造小売り業(SPA)がすべてファストファッションかと言えば、決してそんなことはない。

 ファストファッションとは、「トレンドデザインに特化し、品質と開発期間を圧縮して、低価格と鮮度を実現したもの」。つまり速い、安い、おしゃれな衣料品である。だから、ベーシックなデザインで、時間をかけて商品を開発するギャップやユニクロは当てはまらない。
 また、スペインのザラも自社開発で適度なモード感と高い完成度をもつことを考えると、ファストファッションには入らないというのが筆者の見方である。  ただ、消費者が新参の店舗を訪れるのは、洋の東西を問わず似たような傾向で、どの業態も上陸初年度はロケットスタートを切っている。中でも、H&Mは日本における09年の上半期(08年12月〜09年5月)の売上高は、2店舗で年間120億円を売り上げるペースで快進撃した。

 その後、10年の第1四半期(09年12月~10年2月)は6店で、3億5,300万クローネ(1クローネ12.4円換算で、約43億7700万円) まで降下したものの、12年の第一四半期は11店で対前年比17%増(売上げ4億900万クローネ/約50億7,100万円)と、順調に推移。今期は新たに15店舗を出店する。

<大衆消費市場への回帰が低価格衣料の需要を喚起>
 一方、フォーエバー21は未上場で決算公開をしていないが、業界関係者の間ではH&M天神店と同日、同ビルにオープンした福岡天神店他を加えた10店舗で、推計250億円は堅いとの話が支配的だ。

 まさにあの商品単価を見ると、驚異的な数字としか言いようがない。日本の衣料品市場が低価格にシフトした中、品質や出来映えを落としてでも速い、安い、おしゃれなファッションに舵を切った企業が、品質や出来映えにこだわるところを駆逐し、市場をリードするのは間違いないだろう。

 外資系に限らず、ユニクロやしまむらの人気も底堅い。これは日本に置ける消費傾向がボリューム化、つまり大衆消費市場向きになっていること。そこでは先進国で好まれるような付加価値や過剰な機能は必要ない。むしろ余分な価値や機能を削ぎ落とした低価格商品が求められるのである。

 経済の衰退で、サラリーマンを中心とした中産階級が没落。年収の伸び悩みや低所得者の増加により、少ない消費と身の丈にあった価値感の生活がメジャーとなって、発展途上国に舞い戻ったような様相だ。ユニクロよりさらに低価格のジーユーが、銀座で多くのお客を集める。これが日本の現実なのだ。

 グローバルな経済と市場が形成され、先進国と発展途上国との生活水準に大差がなくなった今、ことファッション、衣料品に限ってみれば、日本市場だけが高品質、高付加価値のものが求められることは決してないということである。

(つづく)
【剱 英雄】

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