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JALを再生させた稲盛和夫流の部門別採算制度とは何か(前)
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2012年5月21日 12:00

JAL.jpg 「部門別採算制度」が企業人の注目を集めている。経営破綻した日本航空(JAL)の再生に抜群の威力を発揮したからだ。JALが導入した部門別採算制度は、京セラ、KDDIを創業した、名誉会長の稲盛和夫氏(80)が生み出した「アメーバー経営」として知られる。中小企業経営者に稲盛経営思想の信奉者は多い。部門別採算制度とは何か?

<過去最高益は部門別採算制度の成果>
 年内の再上場を目指す日本航空は5月14日、前期(2012年3月期)の本業の儲けを示す連結営業利益が2,049億円となり過去最高になったと発表した。JALが会社更生法の適用を受けて提出した更生計画では当初、前期の営業利益目標を757億円としていた。その後、1,800億円に引き上げたが、ふたを開けてみると、その水準を超えた。純利益は1,866億円、売上高は1兆2,048億円だった。

 稲盛名誉会長は会見で、「倒産という不名誉な状況のなかで、社員の気持ちがなえることなく努力してくれたことが大きい」と全社員の努力の成果と強調するとともに、自身がJALに持ち込んだ部門別採算制度がコスト削減に寄与したとの認識を示した。

 稲盛氏は2010年2月、JALの会長に就任する際、友人たちから「晩節を汚すことになる」と忠告されたという。JALの経営陣はたえず政界や官界の顔色をうかがい、社員たちは8つの労働組合に分かれ、まさに伏魔殿。高齢の稲盛氏が単身で乗り込んでも「晩節を汚す」と危惧されたのも無理はなかった。鹿児島の郷土の英雄、西郷隆盛を敬愛する稲盛氏は「日本経済の復活と従業員のために」私心を捨て無給で引き受けた。

 稲盛氏はJALに部門別採算制度を持ち込んだ。経営者は数字がすべてである。結果を出した。JALの再生に威力を発揮した部門別採算制度を学びたいとする中小企業の経営者は多い。部門別採算制度について述べてみよう。

<アメーバー経営の誕生秘話>
 アメーバー経営が誕生するきっかけは、京都セラミック(現・京セラ)の創業から3年目に入った1961年4月の従業員の反乱だった。前年に高卒で入社してきた11人が団体交渉を申し入れてきた。連判状を持参して、ボーナスや昇給といった待遇面の保障を迫った。

 稲盛氏は、将来については「必死でやれば何とかなる」程度にしか考えたことはなかった。この社員たちと3日3晩話し合いをした。「もし私がいいかげんな経営をし、私利私欲のために働くようなことがあったら、私を殺してもいい」とまで言って説得した。ようやく社員たちは要求を撤回して仕事に戻った。

 稲盛氏は「採用したばかりの社員にボーナスや昇給を保障しなきゃならん。これが経営かいな」と起業したことを悔やんだ。このときの苦い体験が、「我々は労使ではなくパートナーだ」とする全員参加型のアメーバー経営を編み出した。

 「大きな組織を独立採算で運営する小集団に分けて、その小さな組織にリーダーを任命して、共同経営のような形で会社を経営する」(稲盛和夫著『アメーバー経営』日経ビジネス人文庫)経営管理の手法である。

 この小集団がアメーバーで、独立採算の手法が部門別採算制度だ。部門別採算制度の狙いは、全員の採算意識を高め、ひいては次の経営幹部を育てることにある。

【本誌取材チーム・佐伯 司】

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