<人口増えるアメリカ>
50年まであと38年、日本の影が薄くなる一方で、2つの大国の影が浮かび上がる。アメリカと中国だ。
アメリカは、先進国の中でも異例の人口構成になっており、今後の40年でも人口が増えていく。ヒスパニック系などの移民を受け入れていることが大きい。移民の出生率が高く、この労働力が、アメリカ経済を支えていく。
どこか閉鎖的で「島国根性」の残っている日本とは違い、外からの「いいもの」を受け入れ、取り込むことに寛容であったことが、これからもアメリカの成長を持続させる。アップル社などの例にもあるように、アメリカは革新的で、創造性の高い仕事をしている。さまざまな組織の出している学習環境、国際感覚などを評価した世界の大学ランキングでは、東京大学の存在感が薄い一方で、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学などは常に上位にランクされる。優秀な人材をさらに鍛え上げることにも長けている。
<さらに力を増す巨龍・中国>
一方、中国は一人っ子政策が原因で、人口構成はよくないが、現在の人口で約13億5,000万人。中国の2050年までの経済成長の規模は、日本の規模の4つ分の成長をするという予測が出ている。10年の日本のGDP(4085・10億PPPドル)が横ばい、あるいは10年のGDP(50年の予測値4057・10億PPPドル)を下回るのに対し、中国は50年までに現在の約4倍(24497・10億PPPドル)に成長。予測では、日本の6倍規模の経済力を持つことになる。さらには、20年までに中国の中間層は、9億2,000万人、富裕層(世帯年間可処分所得が3万5,000ドル以上の所得層)が、1億8,000万人になる見込みで、中国の富裕層人口が、日本の総人口より多くなる。
このアメリカ、中国の2大国が、50年には、圧倒的な1位、2位を形成すると見られている。太平洋をはさみ、日本は、この圧倒的な大国のはざまで、やりくりしなければならなくなる。「日本は、だいぶ離された4位になるのではないかと予測しています。GDPなどで推し図ると、存在感は間違いなく低下することになってしまう。ブレはあるにしても、変容は不可避。現状を直視し、悲観シナリオ通りにならないような手を打っていくことが大事だと思います」(石附主任研究員)
※記事へのご意見はこちら