宮城県石巻市で発生した被災地がれきの広域処理に先立った試験焼却が、今月23日に迫るなか、北九州市で市民によるがれき受け入れの検討委員会が発足し、その第1回市民検討会が21日、北九州国際会議場で開かれた。
この検討会には、被災地がれきの受け入れに反対する環境ジャーナリストの青木泰氏や放射能防御プロジェクトの木下黄太氏、佐賀大理工学部の豊島耕一教授など約20名が名を連ね、俳優で脱原発活動家の山本太郎氏も参加した。同氏は「今現在、原発が一基も稼動していないのは反対する市民活動の賜物。がれきの受け入れも反対する市民の力で中止させましょう」と呼びかけた。
佐賀大学の豊島教授は外部被曝と内部被曝の危険性の違いを説明したうえで、「放射線量に、安全である値はない」と話し、1kgあたり100ベクレル以下という、濃度を物差しにしたがれき受け入れ基準を批判した。また、廃棄物の焼却時に99.9%放射性物質を除去できると国が主張するバグフィルターについて、検討委は「そのように主張するバグフィルターメーカーがなく、静岡県島田市で実際に計測した市民団体によると60%程度しか除去できていないという報告がある」とし、安全性が担保されていない点を指摘した。
検討会終了後、山本太郎氏を先頭に、集まった市民約400名が北九州市役所までデモ行進。市役所に到着すると、参加者の大半が北橋市長らに面会を求めて警備員ともみ合いになった。市長室前は、反対派と市の職員が衝突し、怒号が飛び交うなど一時騒然となった。その後、反対派10名と担当課長などの話し合いがもたれたが、大きな進展はなかった。
市役所では大混乱になる異常事態になったが、山本太郎氏は「そもそも北九州市側が受け入れを強行しようとしていることが異常事態であり、これはその結果だ」と語り、市民検討会事務局の村上聡子氏も「これまで再三に渡って説明会を求めたにも関わらず、向き合ってもらえなかった。手を尽くした結果、こういう騒ぎになった」と説明した。
被災地がれきは、きょう22日に陸路で北九州市に運ばれ、明日にも約80トンが新門司工場と日明工場で試験焼却される予定。反対派の幹部は「最後まであきらめずに抵抗する」とし、市民に協力を呼びかけている。
▼関連リンク
・震災避難者お話会 北九州
※記事へのご意見はこちら