<「先送りはするな!」>
日本経済が、悲観シナリオをたどることがないようにするための重要な要素に、財政の健全化がある。現在、日本の財政は、債務残高が積み上がっている状態。このまま「放置」するとどうなるか?
OECDの出しているGDP比の債務残高国際比較では、2011年6月時点で、アメリカが101.1%、イタリアで129.0%にとどまっているのに対し、日本は212.7%とありがたくないトップを独走している。これを安定的に引き下げるには、16年度以降の10年間にわたって毎年GDP比1%(11年価格で5兆円規模)の収支改善が必要とされている。仮に、15年までに消費税を引き上げたとしても、その後、そのほかに何も収支改善策を施さない場合、50年の時点で、国・地方長期債務残高はGDP比で594.6%に積み上がる。現実としては、そこに至るまでに財政破綻が生じると見られている。
21世紀政策研究所の石附主任研究員は、「簡単な足し算、引き算で、歳出を削減し、歳入を上げることを実行しなければなりません。放置すれば、ギリシャのようになるでしょう。財政が破綻すれば、経済成長どころではない」と、現実を直視すれば消費増税は避けられないとの見方を示す。打開策を打つのは急務であり、かつ、持続的に行なわなければならない。
<これまでの日本の繁栄は「国の借金」>
これまで享受してきた成長と富は、「国の借金」で賄ってきたものである。70~90年代にかけて、日本がアジアに先駆けて経済成長、発展を遂げられたのは、『国が借金をしてきた』からだとも言える。それを返さなくてはならない。
「国の借金で経済成長や富を享受してきた世代が一番中心となって返さなくてはならないのでしょうけど、30~40代の働き盛りの現役世代も享受してきたと言えます。若い世代には、それほどお金をもらえなくても『満足している』という人もいますが、すべての世代が、自らの仕事の労働の質を上げることを考えなければならないと思います」と語った。(石附主任研究員)
国は財政を健全化させ、国民が安心して仕事ができる環境を作ることに努力し、国民は、仕事をきっちり頑張ることで、魅力的な日本を引き継いでいかなければならない。
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