<地元・墨田区に多大な経済効果>
運営する東武鉄道では、開業一年で、スカイツリーのみでの集客を約540万人、隣接する商業施設を含めて来場者約3,200万人を見込んでいる。この数字は、年間約2,500万人の集客力を持っている東京ディズニーリゾートをしのぐ。墨田区は、スカイツリーの経済効果を、全国で約1,700億円、墨田区内で約880億円程度と試算している。観光業を中心に、「スカイツリー特需」がありそうだ。
隣接する商業施設・東京ソラマチの中には、地元・墨田区の観光協会が運営する産業観光プラザなども入っている。その近くに、スカイツリーの634メートルの避雷針の部分が実物大で再現された模型「すみだのてっぺん」が展示されている。産業観光プラザすみだまち処の海藤寛敏さんは「墨田区は、これまでなかなかスポットが当たることがなかったけど、世界一の高さのタワーができ、地元の活性化に期待しています。現在、展望台は予約でいっぱいですが、7月11日からは予約なしになりますし、外国人観光客ももっと増えるのでは」と話す。下町・墨田区の魅力を世界から訪れる観光客に売っていく。
これまで、外国人の観光客は、銀座、原宿、秋葉原などに多く集まっていた。23区のなかでも台東区の浅草までで、隅田川を越えることは少なかったが、タワーの効果は絶大と見られ、その大部分が、墨田川を渡ることになる。東武鉄道の操車場跡地が、東京のなかでももっとも集客力のある観光施設となった。
<集客力持続などに課題>
課題は、「記念に一度上ったら、もう上らなくてもいい」と思われてしまうこと。本業は電波塔ではあるが、マカオのマカオタワーのようにバンジージャンプをできるようにするなどのアトラクションを設置するという冒険をしてみてもおもしろかった。あるいは、日本の現在持っている技術力を結集し、スカイツリーそのものの壁面に、太陽光パネルを敷き詰め、蓄電池の技術をフル活用し、照明などの電力すべてを自給できるタワーにするなどの画期的なチャレンジをしてみてもおもしろかったかもしれない。
隣接する商業施設の東京ソラマチには、太陽光パネルが設置され、発電しているが、タワーにも太陽光パネル、風力発電などを内外部に設置し、エネルギーを自給し、小規模の発電所としての機能を持たせれば、災害時などにタワーから電力を供給することも可能だったかもしれない(あくまで妄想だが...)。高さでは、「さすが日本だ」と言われたかもしれないが、再生可能エネルギーで自給するなどの機能を持たせれば、世界をもっと驚かすことができたかもしれないと想いは膨らんでゆく。
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