<メガリージョンの戦略的構築>
グローバル化の進展に備え、産業と金融、研究、教育など国際競争力のある企業や人材の集積する「メガリージョン」(広域経済圏)の構築が、必要となってきている。お隣、中国で言えば、上海、蘇州、杭州などの長江デルタを中心とした経済圏と、香港、深圳、広州を中心とした珠江デルタがメガリージョンとなりつつあり、この2つの経済圏が中国経済の成長を牽引している。
東京を中心とした首都圏が、国際競争力のある最たるグローバルな経済圏。大阪、名古屋なども地域間での連携を強めるための布石を打ち始めている。今後、世界の各都市の間で、優秀な人材、収益力のある企業の奪い合いとなるのは必至だ。東京がシンガポールや香港などに勝つには、「英語が街中の至る所で通じる」という状態になるのが条件ではないだろうか。
また、メガリージョンとなりうる都市への権限委譲など統治システムの改革も必要であり、国家の能力とともに、強力な政治的リーダーシップが不可欠だ。
<「腰を据えた政治を」>
政治的リーダーが、ころころと変わる今のままの日本に、それができるだろうか。
首相が、これほどに代わる先進国はほかにない。近年の日本では、任期をまっとうした首相を探すのが困難なぐらいだが、アメリカの大統領や中国の国家主席では、任期途中で交代した例を探すほうが難しい。(アメリカ大統領で、任期の途中で辞任したのは、1974年、ウォーターゲート事件で辞任したニクソン大統領のみ。中国の国家主席で交代した例は、大躍進政策で失敗した毛沢東と、文化大革命で毛沢東により失脚させられた劉少奇の例がある)。
国を引っ張るリーダーが、すぐに交代したのでは、戦略的に政策を進められるはずもない。リーダーは、大衆が育てるものだとも言える。頻繁に国家のリーダーが変わる政治を国民は許してはならないし、すぐにトップが変わるような政党を選んではならない。簡単なことではないだろうが、国民一人一人がその意識を持つことが重要だろう。
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