<政治家は世論の鏡>
「政治家は世論の鏡とも言います。広く、長い視野を持って政治を見ていかなければならないと思います」と、石附主任研究員は語る。
政治家は、世論の鏡だとすれば、変節したり、政争に明け暮れたり、ポストに固執したりしている政治家の向かい側にいるのは、われわれ大衆だろうか。これまで、日本人は、高度経済成長後の経済の高揚と、雇用の安定やアジア各国と比較しての経済的優越に浸ってきた。長い間、安堵しすぎていたのかもしれない。このまま、浸っていては、ハングリーなアジア各国の勢いに飲み込まれる。
現在、日本の国会は衆議院、参議院でねじれており、中小企業の事業展開促進法案、地方競馬促進法などの重要な法案の審議が止まったまま進んでいない。制度的な欠陥も見え隠れしているが、これが長く続けば、国民の生活にも大きな影響を及ぼすことになる。それだけでなく、ホットポイントであるアジアの一角で、安全保障の面でも支障が出てくる。
<奇策なし>
石附主任研究員は、「奇策はない」と言い切る。「政府が出している新成長戦略も、優れたことを書いてあります。正しい政策は、正しいのです。それらをすべて実行するぐらいの気概で臨めば、日本が沈むことはないと思います。やらなければならないのは、明らかだと思います。『政策を進めてください』と大きな声を出して言いたいですね」と、語る。国会にねじれが生じ、審議の進捗が遅れているのは、政治の混迷だけでなく、民意の未熟さゆえだろう。政策が進まない国会を作ったのは、われわれ大衆であり、大衆がきちんとした声を上げてこなかったからかもしれない。
先人達が作り上げてくれた日本を沈ませないためにも、一人ひとりができることは少なくない。政治に耳を傾け、見る目を磨き、将来への議論をし、声を上げ、その声を反映させていくのもその一つだろう。
≪ (5) |
※記事へのご意見はこちら