<詐欺行為を行なった相手の連絡先が変わっている>
モバイルオークション(モバオク)では、住所や電話番号を出品者が自由に変えることができ、これが、詐欺行為を誘発する問題点となっているようだ。
上野さんは、出品者に返金を求めるため電話で連絡したが、電話番号が出品していた相手の番号ではなく、違う人の電話番号だった。相手の住所、電話番号が本人のものとは違うものであったため、運営するDeNAに問い合わせたところ、『申し訳ございませんが、弊社では他の方のご登録情報に関わる情報はご案内を行なうことができません』との回答が返ってきた。
被害に遭った上野さんは「個人情報保護の絡みで、教えられないのはわかりますが、嘘の名前や電話番号などを登録していても容認するということになる。許せないのは、モバオクの運営が、まったくマニュアル通りの対応しかしないこと。こちらからメールをしても、『当事者同士で解決していただくことになっております』の繰り返しです」と憤る。
DeNAの決算短信には、モバオクについて『原則として取引の場を提供するのみ』と書いてはある。しかし、このまま、虚偽の名前を登録していることなどを容認する無責任な運営を続ければ、詐欺の温床となりかねない。
<被害者にもマニュアル対応>
「そもそも、詐欺行為を働いた相手の連絡先が違うんですから、相手に電話のしようもありません。メールは、出品者に毎日送っているんですが、おそらくは届いていないか、見ていないんでしょう。今回は、詐欺を働いた相手にというよりも、運営側にも腹が立っています。相手のちゃんとした連絡先を登録させようともしないで、『当事者同士で解決を』の一点張りです。これでは、偽物などを送る行為を半ば容認しているようなものだと思います」と上野さんは、DeNAの管理の仕方に憤慨する。
山形典寛さん(30代・男性、会社員・仮名)も、同じ出品者から同様の被害に遭ったという。「オークションページをすべて証拠として残して、期日内に返金しなければ法的処置を行なうとの内容証明を送りました。その後、被害届を出しました。入金後に連絡を一切してこないなど悪意を感じますので、金額は2万5,000円程度ですが、回収は、民事裁判を立ててでも回収するつもりでいます」と徹底的に戦う姿勢を見せている。
しかし、オークション詐欺の場合、山形さんのように、あきらめない人はまれ。金額が少額であることが多く、被害に遭ってもそのまま被害届を出さず、あきらめてしまうケースが多いようだ。
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