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「計画停電って計画的なの?」(前)~優さんコラム(3)
連載コラム
2012年5月31日 17:00

 反原発活動を長年にわたり続けてきた田中優氏は、節電と自然エネルギーを活用した「原発に頼らない社会」を提言し、全国各地で精力的な講演活動を続けている。NET-IBでは、原発から政治・経済・社会問題など幅広いテーマで、同氏によるコラム「優さんコラム」の連載を開始した。連載3回目となる今回は、関西電力の「計画停電」について、同氏が偽装停電の疑惑を追及する。

<東電の計画停電は必要だったのか>
zu1_s.jpg 今年の夏、関西電力管内などでは 「計画停電」されることが決まった。大飯原発が再稼動できず、電気が足りなくなるというのが表向きの理由だ。
 ところが関西電力は大飯原発の再稼動を求める理由について、何度も「電力需要の問題ではない」と繰り返した。つまり電気が足りないせいではなく、とにかく動かしたいのだと。にもかかわらず計画停電が予定された。なぜ計画停電をするのか、意味不明なまま生活は不自由を余儀なくされる。

 東京周辺では昨年、大震災の直後から計画停電された。その後にも節電が続けられたので、昨年中計画停電させられた気がしたが、実際に実行されたのはわずか8日間だけだった。
 しかしそれだけでも自宅で酸素吸入をしていた人が亡くなったり、信号が消えて事故が起きたり、被害は甚大だった。本当に計画停電は必要だったのだろうか。

<計画停電は「脅し」?>
zu2_s.jpg 計画停電によって、電力逼迫が避けられたと認められるのは3月16日の午後6時から午後9時までと、17日の午前8時から10時の間だけだった。それはまさに大震災によって多くの発電所が稼動できなくなっていた時期だった。
 しかしその後の18、22、23、28日は計画停電がなかったとしても電力は不足しなかった。電力消費ピークの傾向を調べると、気温が低くなると電力消費が大きくなり、平日では午前8時から12時、休日では午後6時から9時にピークになっている。ところが実際には午前6時20分から午後10時まで輪番停電されていた。

 本当に必要だったのは数時間だけで、しかも消費ピークは予測可能だったはずなのに。こうして見ていくと、この計画停電は「脅し」ではなかったかという疑念が浮かぶ。
 現実にその後は節電を理由にして消費ピークの絶対に出ない深夜の街路灯が消されたり、列車ダイヤが間引かれて、1日中ラッシュアワーのようだったりした。でもその時は電力消費のピークではなかった。この夏の関西も同じような目に遭うのだろうか。

※図1・2は、「東京電力でんき予報」より作成

(つづく)
【田中 優】

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<プロフィール>
_tanakasi_p.jpg 田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。


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