<きっちりとした身分照会を>
登録の際のずさんな個人情報確認が、詐欺などのサイバー犯罪を誘発する可能性もある。ヤフーオークションでは、身分証の確認などできちんとした本人確認を行なっているのに対し、モバイルオークションでは、パスワードを書いた書類が、記載された住所に届くだけである。しかも、落札者側に伝えられる住所、名前、電話番号などの連絡先は、出品者側が自由に変更することが可能。この点が、あやうい。
現状では、出品者側の善意に則って、スムーズに取引が行なわれるケースが多いものの、悪意のある出品者が、偽物、コピー品などを落札者に送る詐欺行為を行なおうと思えば、システム的には、かなり簡単である。オークションは、少額での取引が多いので、表に出ることが少ないが、潜在的なトラブル、被害はもっと多いと思われる。
<詐欺の温床になる可能性>
最悪のケースは、誰でも気軽に参加できることを逆手にとって、反社会的な組織の資金源になる可能性があるということ。仮に、詐欺行為を行なった相手方が暴力団関係者であったら、少額であった場合、多くのケースで、泣き寝入りすることになるだろう。この点に関してもユーザー保護、監視の強化が必要だろう。
被害を受けた上野さんは「運営側が何も責任を持たないのであれば、ブランド品の偽物を送ったりしてお金をせしめるのは、このシステムであれば、簡単です。日本人は、善人が多いのでしょうが、こういうシステムを悪用して、詐欺をする人は今後もいると思うので、被害者が増えないように早急に何とかしてほしいです」と話した。上野さんが被害を受けた1万5,000円を回収するのに、かなりの時間を要することになる。普通にサラリーマンをやっている上野さんは、少額であったので、被害額の回収をあきらめるという選択をした。「補償も対象外のようですので、いわゆる泣き寝入りです。法律もこういうサイバー犯罪に柔軟に合わせられればいいと思うのですが、そう簡単にはいかないのでしょうね...」と、声を落とした。
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