日本医療環境サービスにおける問題点について、1つずつ紐解いていくことにしよう。まずは、ある社会福祉法人が運営するA施設から排出された廃棄物に対する、同社の収集運搬業務についてだ。
A施設から回収される廃棄物は、一部に特別管理産業廃棄物として分類されるものもあるが、ほとんどが使用済み紙おむつである。これについては、産業廃棄物と見なす自治体も一部あるが、福岡市では「事業系一般廃棄物」と見なされている(『事業系一般廃棄物の資源化検討調査委託報告書』(10年7月)より)。同社は回収した紙おむつを、A施設から渡された「非感染性廃棄物証明書」(以下、証明書)とともに、中間処理施設である(株)福岡クリーンエナジー東部工場(以下、東部工場)へ運搬・搬入する。
問題が発覚したのは10年4月のこと。東部工場よりA施設へ「日本医療環境サービスを通して搬入されているA施設の紙おむつが、ほかの施設と比べて膨大である」旨の連絡が入った。A施設としては、排出される紙おむつの量に大きな変化はなかったため、同社担当者を呼び出し確認すると、「書類上の単純ミスで以後注意する」という報告を受けた。証明書は回収の際にA施設から受け取るもので、そのつど回収される紙おむつの量が袋単位で記入される。なぜ書類上のミスによって、A施設が過大な紙おむつを排出したとみなされたのか。
考えられるのは、ほかの排出事業者から回収した紙おむつも合わせて一度に運搬し、その証明書を東部工場側に提出しなかった場合だ。ただ、そもそも東部工場側の問い合わせ内容は、搬入された紙おむつを「A施設が排出した」というのが前提。どこから排出された廃棄物(種別)で、量はどの程度か、東部工場側の主な判断材料は証明書となる。搬入時に簡易的な確認は行なわれるものの、実質的には証明書頼りになる場面が多い。A施設の証明書には適正値が記載されていたはずだが、なぜ東部工場から排出量が膨大だと判断されたのか。不可解な点が残る。
いずれにせよ、A施設から適正に排出されたはずの紙おむつが、同社による収集運搬の過程で東部工場へ搬入された際に量が過大となったこと、その件で東部工場側から指摘があったことは取材で明らかになった事実だ。さらに業界関係者への取材を進める過程で、日本医療環境サービスの行為における不可解な点と点とが結びついてきた。
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