アルコール飲料大手サントリーは6日、中国法人・三得利(中国)投資有限公司(サントリー中国)が青島ビール株式有限公司(青島ビール)との協力合意に調印したことを明らかにした。双方は今後、上海市と江蘇省の業務を2つの合併会社に集め、それぞれ株式の50%ずつを保有するという。今回の提携は利益の最大化が狙いだ。
青島ビールの張瑞祥董事会秘書(理事会秘書)は、記者の取材に応えるなかで、「わが社とサントリーとの協力は、中国華東エリア市場の局面を変えるためであり、シナジー効果のもとでの協力の一種だといえる」と述べた。
<華東市場を占有へ>
ここ数年来、中国ビール企業の対外拡張の歩みが拡大を続けており、市場は華潤雪花、青島ビール、アンバイザー・ブッシュ・インベブグループの四大大手が肩を並べる局面を呈している。青島ビールは今回サントリーと提携したことにより、華東市場の占有に向けて一歩リードしたことになる。
青島ビールによると、同社とサントリー中国とは、それぞれ上海市と江蘇省全域にある対象子会社の資産と業務を再編して2つの合併会社に集める予定だ。ひとつは生産などの事業を手がける合併会社、もうひとつは販売を手がける合併会社だ。
このうち事業を手がける合併会社は青島ビールの全額出資子会社である青島ビール上海松江有限公司を土台とし、同公司は13億3,600万元でサントリー中国傘下の三得利上海食品貿易有限公司、三得利ビール(昆山)有限公司、中国江蘇三得利食品有限公司、三得利光明ビール(上海)有限公司といった関連事業子会社の株式を譲り受ける。またサントリー中国は現金13億5,000万元を増資し、松江公司の株式の50%を取得する。青島ビールは松江公司に13億4,000万元の委託貸付を提供し、一連の株式買収費用に充てるという。
中投顧問産業研究センター食品産業部門の研究院・簡愛華さんは青島ビールのこうした大きな動きについて、青島ビールのサントリーとの協力は、華潤雪花を抜いて国内最大のビール企業になることが狙いだと指摘する。
ある資料によると、青島ビールの2011年のビール売上量は715万キロリットルで、中国市場で約14%のシェアを占め、業界2位だった。1位の華潤雪花のシェアは約21%。
ビールの営業販売に詳しい方剛さんは取材に応えるなかで、「青島ビールとサントリーとの協力は、双方の現在のニーズを踏まえてうち出されたものであり、上海と江蘇省の2つの地域はビール企業がぜひとも獲得したい場所でもある。双方の協力は上海・江蘇両地域の販売ルートを強化することにつながり、サントリーは中国市場での弱点を補うことができる」と述べた。
またアルコールの営業販売に詳しい張学良さんによると、ビール業界は再編の後半期を迎えており、四大大手が現在向き合う対象は基本的には強いブランド力を備えたご当地ビールだ。
地域戦争は今後さらに激化する見込みだという。
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