<日系ビールは中国で苦戦中>
実際のところ、青島ビールと日系ビール企業との国内市場における協力モデルはこれが初めてではない。煙台ビール集団有限公司はかねてよりアサヒビールと協力関係にあり、双方とも相互に利益があるとしている。今また青島ビールがサントリーと協力して合併会社を設立したことは、青島ビールが華東市場に進出する上での地ならしになったといえる。
張董事会秘書は、「今はまだ協力プラットフォームを構築しただけで、具体的な協力の内容は株主総会で可決されて初めて決定するのであり、長い時間を要する。今はまだ何も話せない」と述べた。
前出の方さんによると、アサヒと煙台ビールの協力モデルは広く認められている。そこで青島ビールとサントリーの協力では、双方が利益最大化の目的を踏まえさえすれば、それほど大きな問題は発生しないとみられる。
張さんによると、市場競争という観点からみると、現在の競争は主に大手同士の間で、また大手と地域の強力ブランドとの間で行なわれているが、次の段階の競争は四大大手の間で行なわれるようになることははっきりしている。青島ビールの今回の協力モデルは、華東地域での弱点をしっかりと補うものであり、将来の競争で勝利を収めるための妙計だといえる。
実際のところ、サントリー中国が2つの合併会社に再編しようとしている対象子会社は、これまで赤字が続いていた。
青島ビールによると、サントリーが、事業を手がける合併会社に再編しようとしている対象子会社は、親会社に帰属する純利益が2010年は544万元の赤字、11年も32万元の赤字だった。また販売を手がける合併会社に再編しようとしている対象子会社は、同純利益が10年は1億2,967万元の赤字、11年はさらに1億7,320万元の赤字だった。サントリーは必ずしも順調でなかったといえる。
方さんによると、サントリーと青島ビールの協力はやむを得ない選択だ。双方ともに中国での経営が楽観的とはいえないからだ。同じように、ほかの外資系ビール企業も中国での発展プロセスでさまざまな困難にぶつかっている。国内ビール大手の競争という局面が形成されるのにともない、未来の市場でも合併買収(M&A)が続き、外資系企業が国内大手数社の事業拡大に大きな圧力になることが予想される。アンバイザー・ブッシュ・インベブグループだけでなく、他の外資系企業も売上が縮小を続けており、キングウェイビールを含む複数企業が企業売却の意向を示している。そんな折にサントリーと青島ビールが協力関係を結んだ。
この一連の動きから、外資系ビール企業の中国市場撤退の兆しがうかがえる。
≪ (前) |
■中国経済新聞社長・徐静波氏講演会のお知らせ
データ・マックスでは、7月20日(金)に『中国経済新聞』の創刊者にして、社長兼編集長を務める徐静波氏を招き、第17回アジアビジネス研究会を開催します。同研究会では今回、中国経済のウラオモテを熟知した徐氏の講演と質疑応答を予定しています。会費はお一人様4,000円。徐氏から語られる中国進出する企業のための必勝法をお見逃しなく。
<中国経済新聞の申し込み先>
株式会社アジア通信社 事業部読者係
<住 所>
〒107-0052
東京都港区赤坂9-1-7
<電 話>
03(5413)7010
<FAX>
03(5413)0308
※記事へのご意見はこちら