同社における不可解な行為の一つは、（２）で触れたマニフェスト制度についてだ。既に述べているように、マニフェストとは、産業廃棄物の排出事業者ならびにその種類や量、運搬業者や処分業者など、その廃棄物が排出されてから処理されるまでの流れが一目でわかるもの。マニフェストは排出事業者が記入するため、記入された業者が同社の搬入先となるのが"当然"である。
　取材を進めるなか、同社と同じくマニフェストに記載されている中間処理業者へマニフェストが渡されていることは確認できた。問題は、マニフェストに則った産業廃棄物の移動が行なわれているかどうかだ。一つの事例を見てみよう。
　
　09年12月、同社がクリーンパーク東部（福岡クリーンエナジー運営）へ産業廃棄物を搬入した記録がある。同工場によれば、搬入の支払時に領収書は発行するが、マニフェストは基本的に受け取らないという。（特別管理）産業廃棄物収集運搬業者や処理業者、処理施設設置業者は、許可を受けた県や市（同社の場合は福岡県や福岡市）に対し、実績報告書を提出する必要がある。上記の例では、09年度の同報告書にクリーンパーク東部へ搬入した記載があるはずだ。

　しかし、同社が福岡市へ提出した09年度の同報告書を情報公開によって確認したところ、今回の事例に関してはその記載が見当たらなかった。実際に、産業廃棄物を搬入したという公的資料があるにも関わらずだ。そうなると、同社がマニフェストに則った産業廃棄物の移動を適切に行なっているのかどうか、という疑問は残ったままだ。さらに、クリーンパーク東部が運搬先というマニフェストが存在するのか、ひいては運搬した事実が報告書に記載されていないのはなぜか――。今回の事例だけを見ても、疑問は尽きない。

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