<日本にもバイオ燃料の可能性>
日本でも廃木材やゴミなどから燃料を作り、バイオの力を有効活用しようという動きが出ている。北海道、秋田など各地で、食糧とならない稲わらから作ったバイオ燃料の生産、利用促進の取り組みが進展。供給量はまだ少ないものの、農林水産省ではバイオマス・ニッポン統合戦略において、30年までに、全国で国産バイオエタノールの380万キロリットルの普及を目標に掲げている。大阪府では、エコ燃料普及促進のため、植物由来のバイオエタノール燃料をガソリンに3%混合したE3ガソリンを使用する実証実験が、11年度まで行なわれた。E3ガソリンは、首都圏でも試験販売されたほか、北海道でも販売されている。
駐日ブラジル大使館の通商部、高橋ウィルソン補佐官は、バイオ燃料の分野での日本の秘めている可能性について、前向きな見方を示す。「日本には、木くずや稲わら、生ゴミなど多くのバイオマスがある。木造建築が多いですし、その建て替えの際に出る廃建築材などからバイオ燃料を作れます。コスト削減さえかなえば、今後、これまでは捨てていたものから燃料を作れることになるので、日本のエネルギーの将来にとっても、この分野の発展は大切なことだと思います」と話した。
<香川県ではうどんからバイオ燃料>
香川県では、廃棄されている冷凍うどんに酵母を加えて発酵させ、そこからバイオエタノールを蒸留し、燃料を製造。うどん工場のボイラーの燃料として利用しているという。バイオマス発電を手掛けるベンチャー企業・日本バイオマス発電が運営する山形県のやまがたグリーンパワーでは、東日本大震災で発生した気仙沼市の瓦礫を引き取り、廃木材を利用して、バイオマス発電を行なっている。被災地の瓦礫処理を進めながら発電するという復興に向けての一石二鳥だ。ここに、バイオの力の大きな可能性を見い出せる。
ブラジルは、オイルショックで陥った苦境からエタノール生産に力を入れ、エネルギー源とすることに成功した。多くを化石燃料に依存する日本も、新しいエネルギー政策実現に向け、バイオの力はすでに軽視できないものとなっている。
ちなみに、ブラジルのサトウキビから作るエタノールは、含水率を50%ほどにすれば、カシャサ酒というお酒にもなる。泡盛のようなテイストで、ライムやレモンなどと一緒に飲めば美味。ブラジルの名産品にもなっている。「ブラジルにお越しの際には、ぜひ、カシャサ酒を人間の燃料(笑)として飲んでみてください」(高橋ウィルソン補佐官)
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