「2016年度には連結営業利益を1兆円にし、国内企業で1位になる」
ソフトバンクの株主総会で、孫正義社長は、こう宣言した。同社は6月22日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで2011年度株主総会を開いた。総会の出席者は2,039人。連結売上高が前期比6.6%増の3兆2024億円、営業利益は同7.3%増の6,752億円と昨年に引き続き過去最高を更新した業績を背景に、孫社長の発言に注目が集まった。
<日本一利益を稼ぐ会社になる>
孫正義社長は1時間以上にわたり独演。営業利益1兆円をぶち上げたのは成長戦略について語ったときだ。
「満面の笑みで、利益で1兆、2兆と言いましたが、これは2004年の株主総会の時に、この部屋で言ったことです。あのときは1,070億円の当期純利益赤字、当社の一番どん底で創業以来の大赤字を出したときに言ったことです。能天気にもほどがあると(笑)。しかし内心、見とれ、かならずやるからと、心のなかでは思っていた。だから満面の笑みで、本音を言えたわけです。『ホラだと思って聞いてください』と思っていた話を、明確に期限付きで、今日、公言しているわけです。これができなかったらペテンはげと(会場大爆笑)。
今回は、ホラだと思ってくださいという前置きなしです。営業利益1兆円超えの企業は世界43社しかないが、そのなかで1位になりたい。これが単なるホラではない。具体的な戦術、我々なりにつめてやっているという一端をご説明したい」(SankeiBiz「株主総会ライブ」より)
本業の儲けを示す営業利益で1兆円を超える企業はNTT(12年3月期1兆2,229億円)だけ。過去最高はトヨタ自動車が08年3月期にあげた2兆2,703億円。営業利益1兆円とはとてつもない数字なのである。
<携帯電話会社ボーダフォン買収の賭け>
それでは営業利益1兆円はどうやって達成するか。
「2011年度の営業利益の内訳を示します。モバイル(携帯電話)の通信インフラ、固定の通信インフラ、コンテンツビジネスのヤフーの3つがありますが、このなかで、一番の柱がモバイルです。われわれのモバイルはどれくらい伸びるかというと、世界の名ただたるモバイル会社のなかで一番売り上げを伸ばしているのがソフトバンクです」(同)
06年3月、ソフトバンクは携帯電話会社ボーダフォン日本法人を買収すると発表した。日本法人の株式97%を1兆7,500億円で買い、さらに2,500億円分の債務を引き受けることになったのだから、実質、2兆円の買収だ。孫氏のM&A(合併・買収)の人生のなかでも最大の買い物である。世間をあっといわせる言動を好む孫氏らしい大胆な賭けだったが、成算があるとは思えなかった。
06年10月、商号をソフトバンクモバイルに変更。同年11月から始まった「番号ポータビリティ制度」(利用する携帯電話会社を変えても、元の番号がそのまま使える制度)という名前の携帯電話のユーザー分捕り合戦に参戦していった。
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