しかし、福岡県北部土木ブロック協同組合の連鎖倒産には、腑に落ちない点もあった。原材料の共同購入を行なっているならまだしも、共同販売しか行なわない同組合が、なぜ福岡スプリットン工業に対する多額の不良債権を抱えたのであろうか。また、組合は福岡スプリットン工業に対して、140枚、総額で2億9,484万円の約束手形を振り出していた。これらをどのように説明すべきかが疑問として残ったのだ。
もっとも、4月末時点の取材において、この事実に一番当惑していたのは、当の組合自身であったように思われる。もちろん、組合の決済不調と焦付きに組合自身が困惑するというのは矛盾であろうが、これらが組合の一部の者の独断ということであれば説明が付いてくる。
その後の調査で、手形の振り出しが中島理事長の独断で行なわれていたこと、組合事務局の理事長派が連絡役を務めていたこと、スプリットン工業に渡った手形は信金に持ちこまれて手形割引で現金化されていたこと、その金がスプリットン工業の資金繰りに使われていたことなどが、明らかになったという。
組合は調査結果を受けて中島理事長を除名。刑事事件化の様相も呈する。
※記事へのご意見はこちら