組合にまつわる話が漏れ伝わるにつれ、当初は同情的だった福岡スプリットン工業に対する声も、次第に厳しいものに変わりつつある。
同社が選択したのは民事再生法による再建の道であるが、これに従えば、債務の95%カットと残債の10年払い(申請当時の予想値)となり、取引先と痛みを分かち合いながら再建を目指すことになる。一般には、破産を選択した場合より償還率が高くなるものの、不正を行なったとされる経営陣が居残ったままの会社が延命することを善しとしない債権者は多いだろう。実際、過去の事例では、申請後に不正が発覚して再生手続きが頓挫したケースが多く見られる。
また、前述した福岡県北部土木ブロック協同組合における事後処理の態様が、再生の可否に影響をおよぼしてくるとの指摘もある。というのも、福岡スプリットン工業を除いた組合員企業2社が、いずれも県北地域で大きな影響力を持つ企業であるからだ。組合を舞台とした不正で2社の怒りを買った以上、この両社が再建を支持しない方向に動く可能性が高くなる。その場合、両社を取り巻く関係先も、歩調を合わせざるを得ないという見方だ。
組合は中島理事長を除名した反面、福岡スプリットン工業が組合に残ることを現段階では許容しており、その意味では含みを持たせた対応を取っているといえよう。ただ、組合員は仲間であるとはいえ、需要が細る業界において商品が競合するライバルでもある。両社の真意について、関係先は高い関心を寄せている。
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