<電気自動車とわたし>
松山で「ライブインアース」という音楽イベントに参加した時に、日産の電気自動車リーフが展示してあった。そのリーフは自宅の電気とつなげてバッテリー代わりに使えるようにするという。そのためバッテリーを増強するので、来年のイベントはリーフ一台あればコンサートの電気はすべて足りると聞いた。この仕組みは画期的だ。日産のHPによれば、将来のリーフは電気を貯めて送電線網につながり、IT技術に支えられて社会の電気のプールになるという。もちろん家庭は太陽光発電などで発電して、その電気をバッテリーから使うことが可能になる。
単にガソリンが電気に変わるだけでなく、電源は自然エネルギーになり、社会の電気の下支えをするのだ。そもそも日本の二酸化炭素排出量の中で、排出量の五分の一を占めているのが自動車だ。温暖化の問題から自動車に乗れなくなるのではないかと心配になる。都会はともかく、鉄道網が発達していない地方で車に乗れないのは、鎖国されるのと同じだ。しかしそれが自宅で生み出したタダの自然エネルギーで走らせられるとしたらどうだろう。もう温暖化を心配して車に乗る必要もない。
調べてみると電気自動車は、ガソリン車の倍ほど走る。ガソリン車は爆発エネルギーを走行に変えるエンジン部分で効率が著しく落ちる。電気自動車なら、電気をそのまま走行に使える。しかしそれは電気を電力会社から購入した場合の計算だ。それを自宅の太陽光発電からの電気に変えられたら、そもそも発電の温暖化ガスを、最初から極めて少ないものにできる。将来の自動車は自宅に設置した太陽光発電の電気を使った電気自動車になるのが一番いい。
<プロフィール>
田中 優 (たなか ゆう)
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」「天然住宅バンク」理事長、「日本国際ボランティアセンター」 「足温ネット」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の 非常勤講師。『シリーズいますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー①~③』(岩崎書店)、『原発に頼らない社会へ』( 武田ランダムハウス)など、著書多数。
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