＜自衛隊員の立ち入りを拒否＞
陸上自衛隊第１師団（東京都練馬区）は、７月16日夜から17日午前にかけて同師団の連絡要員の自衛隊員が東京23区に徒歩で出向き、被害状況や出動要請などを確認する統合防災演習を実施した。
自衛隊は口頭で23区の防災担当職員に、（１）「庁舎内に立ち入らせ、待機させてほしい」（２）「駐車場を使わせてほしい」（３）「防災担当者に立ち会ってほしい」の３項目を要請していたが、11区（千代田、中央、港、新宿、目黒、世田谷、渋谷、中野、杉並、豊島、北）が隊員の立ち入りを拒否した。また、７区（千代田、中央、港、墨田、世田谷、渋谷、中野）の防災担当者が立ち会わなかった。
３項目すべての要請を拒否した区の防災担当者は、自衛隊に対し、「区民との接触を避けてほしい」「迷彩服姿を見せないでほしい」と申し入れたという（産経新聞７月23日付）。
＜自治体は左翼市民団体の圧力に屈するな＞
今回の防災演習で、区が自衛隊に非協力的対応をした背景には、左翼市民団体が防災担当者に圧力をかけたからだ。ある区の防災担当者は「反対運動のすさまじさと圧力がきつかった」と産経新聞の取材に答えている。
東京23区のうち12区が左翼市民団体から「自衛隊に区の施設を使わせるな」との申し入れを文書で受け、練馬区では７月12日、住民監査請求を受けた。申立人は「自衛隊員に区役所の水、電気を使わせるのは違法だ」とまで主張している。
多くの国民が東日本大震災での自衛隊の活躍を高く評価し、頼もしい存在だと認識したはずである。しかし左翼市民団体は、いまだに反自衛隊の活動を繰り返しているのだ。同じ日本人として恥ずかしくないのか。
日頃から人権を声高に叫ぶ左翼市民団体が、自衛官の人権を無視しているようでは、人権を語る資格などない。左翼市民団体の胡散臭さは、誰が見ても明らかである。
首都直下地震が発生すれば、区と自衛隊との連携が何よりも重要になってくる。区は左翼市民団体の圧力に屈するべきではなかった。いかなる理由があろうと、自衛隊に非協力的対応をとれば、区民（国民）の命を守ることはできなくなるだろう。
東京23区に限らず、自治体は左翼市民団体の圧力に屈することなく、自衛隊との防災協定を平時から強化しておくべきである。
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＜プロフィール＞
濱口 和久 （はまぐち かずひさ）
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年３月に竹島に本籍を移す。今年３月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居（おもしろい）』（東京コラボ）、『祖国を誇りに思う心』（ハーベスト出版）などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。５月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか？」（たちばな出版）が発売された。 公式HPはコチラ。
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