「最近、当社では事情聴取が行なわれるようになりました」――こんな情報が今朝、ベスト電器OBのA氏から寄せられた。A氏は現社員からこう漏らされたようだ。手段や目的までは伝えられなかったようだが、どうやら筆者が指摘した、子会社や取引先を巧みに使った不正について内偵調査が進んでいると見られる。
ヤマダ電機は、すでにベストに見切りをつけたライバルのビックカメラの動向をうかがいながら、121億円という破格の安値でベストを喰った。「株式の時価総額は約136億円。天神の福岡本店などを合わせた不動産価値だけでも70~80億円はあるだろう。また、何より海外進出のノウハウも持っている。121億円は絶対に損しない価格だ」とA氏は語る。
また、同じくベストOBのB氏は「内偵調査?やるならとことんやった方がいい。有薗氏や濱田氏がやってきたことを考えれば当然だ」とする。
ここで、見事に積年の恨みを晴らしたヤマダ電機の山田昇会長に、憚りながら助言したい。「ベスト電器の再生を阻む過去のくびき」シリーズでも再三指摘したが、ベストに群がる"シロアリ"をまずは駆除すべきだ。奇しくも、霞が関のシロアリ駆除をせず消費増税を押し通そうとする野田首相が批判にさらされているが、ベストに関しても同じことだ。業績低迷の原因を、業界環境の悪化などありきたりな理由で片付けるべきではない。
また、幹部連中と銀行に「なぜこんな状況になったのか」を徹底的に追及すべきだ。とくに、ベストは価格や品ぞろえ、接客などへの不満から地元消費者に見放されているのが、再生できない要因として重要である。単にヤマダの仕入力や広告宣伝力を生かすというだけでは、「ベスト電器」という看板についた数々の過去のしがらみは払しょくできないだろう。
地元消費者の「ベスト電器への愛」を取り戻すためにも、場合によっては看板を新たにかけかえる覚悟も必要である。
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