小泉俊明衆院議員「もう一度政治を変えないと直らない」
債権回収問題で、中小企業債務者を守る方策について、小泉俊明衆院議員(茨城3区)に話を聞いた。小泉議員は、国会で資産デフレ対策に一貫して取り組み、整理回収機構(RCC)問題を追及。債権回収問題では「中小企業等金融債務者保護推進議員連盟」幹事長を務める。中小企業経営者、地方議員を経て国政進出を果たした経歴の持ち主でもある。
<第1回>
<金融の分からないど素人が管轄>
――債権回収会社からの取りたてに問題がある事例が起きています。何が問題ですか。
小泉俊明衆院議員(以下、小泉) RCCや債権回収会社からひどい取立てを受けているわけです。ただ、金融庁は金融に詳しいから、金融庁を呼んで正すと、実はかなり債務者を守ることができる。金融庁が管轄しているから、ある程度金融庁がわかっているけど、金融サービサーは所轄管轄が法務省で、監督しているのが金融のど素人だからまったくの野放し。これまで10年以上、大蔵委員会、財政金融委員会、予算委員会をやってきて、法務省を呼ぶとまったく知識がない。債務者の味方につくことが一切ない。自民党が法律をつくったとき、もともと法務省管轄にした。金融庁にするとうるさいじゃない。その上、金融サービサーは、登録の早いかなりの部分がタックスヘイブンに会社を置いている。だから税金を払わない。
――日本の税収にもならないし、日本経済にはまったく貢献しない。
小泉 タックスヘイブンに置いたら日本の会社じゃないからね。外資のハゲタカに大きな利益を与えているようなものだ。1億円の債権を3%とか5%とか、昔はもっと安くて、最近はもう少し高いかな、まあ3%で買って、債権全額請求するわけでしょう。しかも保証人になっている息子とか娘とか、嫁ぎ先の娘さんのところに請求取り立てに行ったり、勤務している息子のところにまで取り立てに行く。そうすると、世間体もあるし、もちろん100%払えないにしろ、和解して3,000万とか4,000万とかで手を打ったりする。そうすると、300万円で買ったものが3、4割で手を打ったとしても、利益は非常に大きい。基本的に暴利行為に近い。どこの世のなかに、元本1億を3%から5%で買って全額取り立てられる、そんなおいしい商売があるのという話だ。RCCや債権回収会社ができて10年以上たっているわけで、つくった制度の検証しないといけない。歴史的使命を本来は終えているはずなんだよね。逆にわざと仕事をつくって生き残るように、そしてそこに財務省から天下りする。
<RCCも債権回収会社も歴史的使命終わった>
――来年3月にRCCは終わるはずだったが、そうなっていない。
小泉 住専処理は終わるのに、違う仕事をするようにした。不良債権処理にはウラの仕事の人もいるから、そういう債権を扱うことにしてしまった。検察と財務省の天下りの人が社長や副社長になり、今度も社長が名古屋高検の人だったでしょう。1つの天下り先になっている。そして、かなりの規模の組織になって、つぶれた銀行の社員とか、弁護士が何十人もいて、そこのお給料を取るための組織になっている。本来の任務からだんだん外れている。1回検証しないといけない。つくった制度はちゃんと機能しているのか、どういう結果だったのか、客観的に検証しないといけない。本当は、歴史的使命を終えている。サービサーも、RCCも、こんなばかげた制度をする必要はない。そのおかげで、数知れない人たちが泣くどころか、みんなRCCの取り立てに呼び出されて、狭い部屋に入れられてガンガンやられてがんになって亡くなられた人もいっぱいいる。私の知り合いでもかなりいる。茨城県藤代町では、県内で一番長く議長をやった方は、会社がおかしくなったときRCCに呼び出されて、ガンガン取り立てられて、がんになって入院した。そのときに「退院したら頼むよ、どんなにRCCがひどいか話すから敵(かたき)を打ってくれ」と言われたが、そのままがんで亡くなられた。病院を生きて出てこれなかった。やりすぎると、人間って精神的に追い詰められて、とくにお金を借りた人って立場が弱いから、取り立てがかなりきついから、それで借りた本人はなかなか強く言えない。債権持っていたって、脅かしたり、暴行傷害やれば、脅迫とか強盗になるわけだが、言っちゃいけないことを言ったり、本来の権限を逸脱してかなりプレッシャーを与える。それでがんになる方がかなりいて、現実にたくさんの方が亡くなられている。
――まったくひどい。
小泉 RCCの部屋も変えさせたりしたし、「取調室みたいなところでやるな」と言ったら、「カレンダーを置きました」とか「花を置きました」とか言ってきたが、そういう問題じゃない。いくら債権を取り立てる権利があっても、人間を病気にするくらい威圧してはいけない。それは犯罪行為、脅迫だ。(敬称略)
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