<第3回>
<完璧に自民党化した民主党>
小泉 本来政権交代に期待されているのは、与党になったとしても野党のときに言っていたことを継続的にやるということ。悪い点を正すために政権交代したんだから。悪いところだけ同じになったのでは意味がない。だけど、消費税あげないといっていたのにあげようとしたり、TPPやるといっていないのにやろうとしたり、嘘ばっかりついている。たった3年近くで完璧に自民党化したから、鳩山由紀夫さんが言ったように、「自民党内野田派」だね。役人の操り人形になっている。非常に危険だ。
かわいそうなのは、政経塾というのは1度も、自分で企業経営したこともないからリスクをとったこともない。組織も知らない。自分で連帯保証人になってお金を借りて事業をやって、どのくらい金利の支払いが大変なのか知らないし、そういう人たちがトップに立っているのが非常に危険だ。だから、債権回収の問題をとっても、本来なら民主党しか味方になるのがいないはずなのに、頼みの民主党がいなくなっちゃった。逆に、向こう側になっちゃって、それこそ全銀協と仲良くしようとか、経団連と仲良くしようとかいうことしか考えていない。パイプがないからパイプをつくろうとして、おもねっている。国民はたまったものじゃない。
外資が買っているサービサーがいっぱいある。日本の中小企業経営者が外資にミンチにされて「ベニスの商人」のように日本人の生き血が吸われているのを、正さないといけない。これだけ時間がたって被害者が出ているんだから検証すべきだ。本来は政権交代したときにやらなければいけなかったんだけど、悲しいかな、国民の皆さんには申し訳ないんだけど、鳩山内閣が菅内閣になった瞬間にそういう作業は全部なくなった。消費税を上げるといってオウンゴールを何発も叩き込んで参院で負けて、衆参のねじれができて、法律が1本も通らないという大義名分のもとで、なんでも野党のいうことを聞くことになった。
<デフレ政策でわざと不景気に>
小泉 もっとさかのぼると、お金を借りた方が被害を受けているかというと、デフレ、わざと不景気の政策をとってきたからだ。バブル崩壊後ずーと、株と土地を暴落、下落させる政策をとってきたからだ。ここ30年で、アメリカもイギリスもフランスも、土地の価格が3倍から4倍になっている。株価も3倍から4倍になっている。日本だけは、この20年で株価は1989年に3万8,000円ピークをつけてから、ずーっと4分の1。地方の土地は5分の1から10分の1。これはOECD先進国のなかで日本だけ。ところが世界で一番お金がある。2,400兆円の国民金融資産の上に、なおかつ対外純債権260兆円持っている。金利だけで15兆円持っている。金利収入は一つの国の予算よりもでかい。なおかつ、一部上場企業は銀行に350兆内部留保を持っている。だから円高なわけだ。世界で一番金を持っていて、安定しているから。それだけ金を持っているのに、金と土地は暴落しているただ1つの国。これだけ株と土地が暴落しているということは、とくに土地が暴落しているということは、担保力が失われるからお金が借りられない。金融が止まっちゃっている。この状態で実は、もうけろとというのは、詐欺師と天下りの会社しかできない。儲けられないのが当たり前。だから彼らがなぜ借金で返済できないかといったら、国の政策だ。国家にわざとそういう政策を取られたら、その中で個人で努力しても利益を上げられないのは当たり前だ。東京は人も多いし、いろいろなビジネスチャンスがあるから恵まれている。しかし、とくに地方はそうだ。地方の老舗がバタバタつぶれている、バタバタ自殺している。好き好んで借金を返せないわけではない。返済できないのは当たり前、責任じゃないんだ。(敬称略)
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