<第3回>
<会社も自宅も命までとるかのような取り立て>
――ところで、銀行サイドの厳しい態度やサービサーに苦しんでいる事例もお聞きになっているのでは。
原口 それはいくらでも聞きます。椎名先生とたたかった案件もあります。本当に生きたままはりつけにして、バラバラにして売り飛ばすような、およそ金融機関の社会的責務を放棄した事案にも当たりました。銀行がケイマン諸島に口座を持つお決まりのハゲタカに二束三文で売り飛ばしているんでしょうけど、回収額は理不尽なもので、まさに会社も家も、どうかすると命までとるかのような、とても容認できないものでした。あるいは、九州の事案で言うと、佐賀もそうですが、大手が海外転換をいきなり言い出した。そして下請け切りをして、まったくの猶予がないにもかかわらず、それを聞きつけて金融機関が債権を引き上げる。
――海外について行けないならば切り捨てる、と。
原口 そういう事案もあって、それは世界的な企業の責任を放棄することではないんですか、という強い批判がありましたね。和解というかたちになりましたが、結局その下請け企業はつぶれました。何十年も元請に良質な部品を供給していた技術屋さんですけれども、技術そのものが紙くずのように捨てられるのは、私は容認できません。
<米国サブプライムローン被害者救済をモデルに>
――国会で議員連盟の要求の法案化は今どうなっていますか。
原口 消費税増税法案採決をめぐって仲間がずいぶん民主党からいなくなってしまっているので危惧していますが、もう一回体制の立て直しを中津川博郷さん(衆院議員)らと相談しながら、超党派といえば超党派の議員連盟なので、法案化に向けて、引き続き頑張りたいと思います。
――具体的には、今国会で、なんらかの新しいメンバーや役選も含めて動きは。
原口 拡大役員会を開いて、さらに議員の数を増やして、入りたいという人はいっぱいいるんですから、それで次の臨時国会にしかるべき法律を出したい。東北大震災被災者の支援、いわゆる被災地の二重債務問題に対して、私の仮称ですけど「復興銀行プラン」も立法案化して政府に渡しましたが、そこまでいっていないんです。仮称復興銀行をつくって、いわゆるマイナスからの出発ではなくて、最低でもゼロからの出発をしていただきたい。金融機関にインセンティブを与えて不良債権をオフバランス化する。これはアメリカが07年にやっているものを、日本でできないわけがないですから。
――アメリカのサブプライムローンのときに、要するに、政府系フレディマックなどが下がった価格で買い取って、債務者は下がった金額でローンを組み直すものですね。
原口 そこに公的インセンティブを与えて、これは椎名麻紗枝先生(弁護士)とずっとアメリカで研究してきたものなので、震災後2カ月して立法化して各党に示しているのですが、まだ政治的混乱のなかで、政府の方の案は通って、私の方の案はまだです。実際には、二重ローンの問題はほとんど手付かずというのが実情ではないでしょうか。
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