<第4回>
<債務者保護の課題 銀行の行動の開示、インセンティブ、連帯保証制度の廃止>
――最後に債務者保護のための課題は。
原口 少なくとも3つあると思う。1つは、債務者の権利を書き込んだ、権利の保障のための法的枠組みをつくることです。金融円滑化法は、そのためのステップ1なんですけど、債権会社にいくらで売却したとか、銀行のビヘイビア(行動)を開示させる。そして、より高い社会的責任を果たしているところにインセンティブ、これは2番目ですけど、租税の特別措置であるとか、税制優遇や、銀行の格付けであるとか、いわゆる格付け会社がやっているような格付けではなくて、国として地方として様々な支援措置をやっていく。BIS規制で国債を持っていればリスクがゼロで、貸し出しがリスク100であれば、銀行はどこだって貸しませんよ。
3番目は、私たちがずーっと言い続けていて、まだ成し遂げていないが、連帯保証というやり方をやめるということです。連帯保証人を取っている国はどこにもないわけで、埼玉県の話をしましたが、それでも十分回るどころか、これだけ厳しい中で企業が生き生きしているわけです。
だから、国の法律が、私たちの力不足でまだできないということになれば、条例委任して、僕も地域主権担当大臣でしたから、条例委任して色々なことができるようになった。埼玉県とかこうやって、やる気のある知事がおられて、できたんです。やはり担保主義、連帯保証の仕組みを根本から見直すことが大事だと思います。そのための立法、エネルギーから金融に至るまでの大きな仕組みを世界的に変えていくのが私たちのミッションだと思います。
<21世紀の使命 地域循環マネーの仕組み>
――地域主権というのは、経済的な実業としての効果を、ちゃんと地域に回す。
原口 ものすごく大きいです。ここはある意味、手付かずの資源なんです。この地域に降り注いだ太陽のエネルギーを他の人たちが奪っちゃいけないんです。この地域に地熱のエネルギーをよその人たちがそこにレバリッジかけて売り飛ばしちゃ駄目なんです。その認識が、今回の大震災以降の新しいエネルギーの試みにおいても顕在化させてきましたので、私たちももっともっと前に進めようと思っています。マネーというのは、地域を回らないといけない。
――地域を回ることで、同じ1万円が何倍もの効果がある。これを本社が吸い上げたら、地域に回らない。
原口 そうです。回らないし、結局、あぶくのようなお金になって、金融商品に向かい、今回CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が破裂しましたね。何年か1回、金融破綻が起きている。そうではなくて、地域に還元する通貨の仕組みを生み出すことが、21世紀の私たちの使命だと思っています。
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