「ついに独立しました。お時間がある時に1度のぞいて下さい」と、なじみのスナックのA店長(35)からメールが届いた。A店長の店は、つい最近、他店と合併してリニューアルオープンをしていたのである。彼は男の店長だが、店の女の子以上に売上を持つ人気者。かと言ってゲイやニューハーフというわけではない。別れた女房は北欧人という、れっきとした外人女性好きの男である。
彼は客との付き合いが良く、客からの評価が高かった。月に1回は、店休日に馴染みのバーを貸し切り、食べ飲み放題のパーティーを開催。スタッフだけではなく、常連さん同士の交流の場として毎回大盛況を見せていた。さらに、そこでは実家から送られてきた採れたての海鮮を振る舞うなど、旺盛なサービス精神を発揮していた。
これまで現場レベルで先頭に立ち、店の売上を支えてきたといっても過言でなないほどであったA店長であったが、リニューアル後は、スナックからクラブへと店の営業形態が変わり、接客の第1線から外れてしまう。旧店舗の常連さんから、それを惜しむ声が上がり、何人かは独立をすすめた。なかには「必要なら開店資金を出す」といった激励もあったという。
そのような経緯を聞いていただけに、冒頭のメールが届いても驚きはなかった。むしろ新しい店はどのような雰囲気であろうかと楽しみになり、居ても立ってもいられず、すぐにA店長の新店へと向かったのである。
シャレで名刺の肩書きが店長ではなく「監督」としていたA店長改めA監督は、まさにプレイングマネージャーとして、「代打オレ!」的なノリでまだ女の子が少ない店内を所狭しとかけ回っていた。見渡せば、旧店舗の常連さんたちがチラホラ。みな新しいフィールドが以前と変わらぬ雰囲気であることにひと安心しているようでもあった。ホームグランドが変わっても、A監督の流儀は中洲から消えることはなかった。
激動・激変と言われ、新しいサービスや営業形態が次々と現れるなか、自身のスタイルを確立し、それを維持し続けていくことはたいへんなことである。中洲っ子に人気の名物店長が、これからも健在であるり続けるう心からエールを送りたい。
なお、記事下のおすすめリンクでおなじみのMLHグループでは、実施する度に行列必至のメール会員限定の「無料イベント」を再び開催! 第2ラインビル4階の「サントノーレ」店では、8月30日(木)午後8時30分までの入店でなんと1セット0円(ただし、当日のメール会員入会は利用不可。詳細はコチラ)となる。
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポートしてきた男の遊びコンサルタント。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の歓楽街関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲(福岡市博多区)にほぼ毎日出没している。
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