8月29日の民主党法務部門会議で、人権侵害救済法案の法案審査が行なわれることが明らかとなった。これは8月23日に、衆議院予算委員会において公明党の東順治議員が、差別や虐待など人権侵害行為の救済を行なうことを目的とした人権侵害救済法案について質問し、野田総理大臣は、「閣議決定を行ない、国会提出手続を進める」と答弁を行なっていた。
人権侵害救済法案は、小泉政権時に提出されメディア規制3法と非難を浴びて廃案となった人権擁護法案と、その性格は似ている。
同法案は、部落解放同盟など差別問題にかかわる人権団体を中心に成立を求めてきたものだが、過去の差別糾弾闘争の経緯もあり、人権侵害の定義が曖昧で、表現の自由を侵害しかねないなどの懸念から保守層を中心に反対論も根強くある。自民党政権時代は、野中広務・古賀誠両氏が推進したものの、法務部会でストップがかかっていた。
今国会は、残り10日ほどの日程のなか、会期末をにらみ、閣議決定へ向けた党内手続きにおいて座長一任とされることもありえるという。
現実的に今国会での成立は困難だが、国会へ上程されれば、臨時国会へ向けて継続審議の手続きを取ることも可能。世論が割れている法案であり、慎重な議論が望まれる。
※記事へのご意見はこちら