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SNSI中田安彦レポート

ウォルフレンの日本知識人への警告を今こそ噛み締めるべきだ(1)
SNSI中田安彦レポート
2012年8月30日 11:44
2012年8月29日
SNSI(副島国家戦略研究所)研究員 中田 安彦

 今年の夏も終わりつつある。今年の夏はまず、大飯原発再稼働問題に始まり、ついで消費税政局と小沢一郎らの民主党離脱、ついで、オリンピックと尖閣・竹島問題という流れである。官僚への国民の怒りをテコに政権交代を果たし、政治主導を実現しようとした民主党の政権交代から3年。鳩山由紀夫、菅直人と首相は移り変わり、今野田政権になり、世論を無視した「決める政治」を行なっている。

 この間、首相官邸前では、原発再稼働への反対運動から始まった、反原発デモが勢いを見せ、最大で数万人からの一般市民が官邸前や国会議事堂前を占拠した。首相のお膝元である千葉県船橋市でも野田自宅前デモなどが企画された。たしかにこれらのデモ活動については、ただの「ガス抜き」であるという批判もある。

 ただ、数万人以上の市民がわざわざ電車を乗り継いで参加するということは、間接民主制では民意をすくい切れていないことの現れであり、原発反対と並行して起きている、中国と韓国との挑発合戦になりそうな領土問題も、既存の政治家が役に立たないと判断した、ナショナリズムに現状の不満を持つ市民らが、中途半端なポピュリズムに訴える石原慎太郎東京都知事らの尖閣募金運動に反応し、過激化し、それに対応して中国でも過激化するナショナリストらがとうとう丹羽駐中国大使の公用車の国旗を奪い取るという事件が起きてしまった。

 そんななか、維新の会がこういった大衆の受け皿になると期待されているが、この維新もまったく期待できない。というのは、橋下徹大阪市長は、大衆の怒りを集めて支持に結びつけているが、それが必ずしも国民の生活を向上させることにはならないからだ。たとえば、維新では議員定数の削減を行なうことで、政治家が身を切る姿勢をアピールするが、ほんとうに重要なのは公務員制度改革である。政治家を減らすのは官僚の予算のムダ遣いを減らしてからでも遅くはない。物事の順序が巧妙にすり替えられているわけだ。

 そんなやり場のないあきらめ感にも抱いていたなかで、私がたまたま知人のススメで読んだのが、オランダ人ジャーナリストで、最近も精力的に日本国内で本を出している、カレル・ヴァン・ウォルフレンが1995年に書いた、『日本の知識人へ』(窓社)という本だ。ウォルフレンは、この本のなかで、日本の知識人が、単なる日本の官僚機構の追認機関に成り下がっているとし、独立した権力から自由に考える知識人がゆるやかな連合体を作って、官僚機構の暴走を食い止めるべきだと論じている。

(つづく)

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。


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