先日、西日本新聞の一面を飾った、元ヤオハン・和田一夫氏による「中国・重慶の日系SAエリア構想」。この話は、少なくとも半年以上前から和田氏(和田総研)がブレーンの人物と構想を練っていることは、そのころすでに耳に入っていたが、あえて報じなかった。なぜなら、この構想に対し、実現可能性について疑問を感じていたからだ。
実は昨年、和田氏は別の場所で同じような商業施設の構想を抱いていた。安徽省合肥市である。中国全国人民代表大会の代表である人物と組んで、壮大なまちづくりを計画していた。そこに進出する福岡の中小企業を募るため、事前準備として弊社は昨年6月に記者を派遣し、現地視察を行なった。
たしかに合肥市は広大な土地があり、開発も急ピッチで進んでいた。上海・浦東になぞらえた「安徽浦東計画」も進行しており、和田氏はその流れに乗るかたちで投資と進出を企業に呼びかけていた。しかし、結局は計画が壮大過ぎたため見直しが図られ、和田氏自身はこの構想から外れたと聞かれる。
こうした経緯のなかで、今度は重慶の話が出てきた。当該記事からは中国側がどのような条件を和田総研に提示しているか、予算はどの程度かといった詳細は不明だが、合肥の件と照らし合わせれば、一定の資金調達とリーシングが求められていると考えられる。
そうであれば、今の和田一夫氏の力だけでは実現可能性は低いだろう。当然、ブレーンの存在が必要になってくるが、今後どうなるか不透明だ。
当該記事を執筆した向井記者の目がすばらしい慧眼となるか、それとも単なる節穴になってしまうのか――。
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