病院長・理事長退任表明後の小倉記念病院の体制はどうなっているのか。
病院長については、延吉氏が退職願いのなかで、代行者として瀬尾勝弘副院長を任命している。また、理事長が欠けるときは、常務理事が代行すると、「寄附行為」(組織運営を定めた規則)に定められている。
にもかかわらず、退任した延吉理事長名で、理事長印の押印もなく、"理事会"の招集が繰り返されている(7月20日、8月16日)。しかも、会場は、病院内ではなく、「弁護士法人リベラ会議室」とされている。
<定足数満たさず流会続き>
これらの理事会なる会合は、病院関係者の証言を総合すると、出席者は3人以下だった。現在、理事は延吉氏を含めて6人。理事会は3分の2の出席で成立するので、仮に理事会が適法に招集されていたとしても、定足数を満たさず流会となり、理事会としては無効になる。
病院は、公共的医療サービスを行なう施設であり、医業は、営利を目的に営むことは許されない。財団法人が病院を経営するといっても、非営利目的であることにかわりない。
財団法人平成紫川会の理事会招集に疑義が出ているのは、「公共財」である小倉記念病院にとって、正常とはいえない。
病院関係者は「みんなが円満に解決しようと、延吉理事長と話をしてきた」と語る。
勇退を表明した延吉氏が後を理事会に託して、花道を悠然と進んでいれば、混乱は避けられたはずだ。
<理事、評議員懇談会の存在>
延吉理事長退任と理事会をめぐって、清原弁護士とその法律事務所が重要な役割を担っていることが浮かび上がるが、清原弁護士は「守秘義務があるので、お答えできない」と述べ、ノーコメントを貫いている。
そこで取材を進めるうちに、延吉派の病院関係者に話を聞くことができた。
そのなかで、7月20日、8月16日の理事会とは別に、延吉理事長名で「理事、評議員懇談会」なる会合が、ホテルや「弁護士法人リベラ」で開かれたことがわかった。
小倉記念病院には会議室や講堂など病院内で会場を確保できるのに、なぜホテルや法律事務所で開かれるのか。
延吉氏らのこのような会合は、財団法人平成紫川会の正規の組織といえるのだろうか。「派閥」「内紛」というよりも、財団法人外部での動きにしかみえてこない。
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