質疑応答を通じて、さとうベネックにおける決済不調や支払猶予要請は、LBO(リバレジッド・バイアウト)に伴う13億円の現預金の流失が原因であった事が明確となった。すなわち、ダイセン側が買収資金としてSBIソリューションズから一時的に借り入れた13億円を返済するために、さとうベネックがダイセン側に13億円を貸し付け、そのためにさとうベネックの資金計画に穴が開いたという流れだ。さとうベネックが貸し付けた13億円が返済されていれば、今回の事態に至らなかった可能性が非常に高い。
では当の大川氏は、返済や運転資金の調達をどのようにして行なうつもりであったのか。説明会ではその目論見と、思惑が外れた資金調達の経緯についても語られた。
大川氏や代理人弁護士の説明によると、当初は、銀行調達によって13億円の穴を埋めるつもりであったという。さとうベネックとメインバンク・大分銀行のラインは非常に強いものがある。しかも、サブにあたるその他の地銀も以前からダイセンビルディングとの取引があり、知らない仲ではない。買収を仲介したコンサルの助言もあり、その後の資金調達は容易だと考えていたという。
しかし、買収直後から大分銀行の態度が急変。その他の地銀も軒並み融資に難色を示したことから、「九州の銀行では...」と考え、資金調達の場を東京に移す事になる。一部は埼玉りそな銀行や新生銀行から調達し、ダイセンビルディングが保有するビルを売却して捻出を試みもしたが、それでも資金の絶対量が足りない。8月20日の決済不調後は、銀行交渉もままならず、今日に至ったとのことだ。
「不徳の致すところ」との反省や「ゼネコン運営に関する知識不足」といった理由も挙げられたが、コンサルタントの甘い言葉に振り回されたとの思いが時折顔を覗かせるコメントが続けられた。
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