<風評を一蹴した財務の大幅改善>
トライアルカンパニーは大手企業や商社などのグループに入らずに、独自で店舗展開を行なってきた。
同社が躍進する時期は、偶然にも地場の大手小売のオサダ(2000年民事再生)、寿屋(01年民事再生)、ニコニコドー(02年民事再生法)などが次々と倒れていった時期と重なり、これらの企業の居抜き店舗と優秀な人材が溢れ出たことで、同社にとっては追い風となった。
しかし、独立系の同社は大手の後ろ盾がないため、出店はすれども資金が追いつかず、自転車操業の時期が長らく続いたと聞かれる。07年3月期の固定長期適合率は293.91%と300%近くあり、当時、数字上は資金繰り多忙だったとみられている。しかも同年同期の自己資本比率は4.16%と脆弱であった。
当時、倒産したスーパー跡に出店、またはM&Aなどで積極出店を続けていたスーパー「アパンダ」の(株)石原商事が06年12月27日に大阪地方裁判所に会社更生法の手続きを行なったことで、トライアルの動向にも注目が集まっていたのは事実。さまざまな風評が飛び交うなか、トライアルカンパニーの永田会長は弱点だった財務面を強化するため、08年にみずほ銀行から亀田晃一氏(のちに専務)をスカウトした。
以後、同社の業績は大幅に改善され、積極出店が続くなかで有利子負債のカットに成功。5期前の自己資本比率4.16%は12年3月期は20.54%となり、自己資本が手厚くなった。財務の強化に加えて、売上高も伸び、売上高と賃貸収入を合わせた営業収益が6.1%増の2,552億9,900万円、営業利益が3.0%増の41億100万円、経常利益が14.3%増の45億1,200万円となった。
5年前に流れたあの風評は過去の話。現在は、急成長かつ優良企業の域に入ったと言っても過言ではないだろう。
<日刊マックス流通のご案内>
日刊マックス流通は沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームでお申し込み下さい。
※記事へのご意見はこちら