"神の手"を持つ延吉正清氏らが「秘密保持」のかん口令を敷いた「理事評議員懇談会」は、8月1日にも開かれている。
<坂田教授、K教授との懇談>
この日の会場は、「弁護士法人リベラ」ではなく、小倉駅北口のRホテルだった。
京都大学医学部の坂田隆造教授(京都大学付属病院副院長)、K教授を迎えて開かれたという。ただし、"秘密会合"の「理事評議員懇談会」では気が引けたのか、会場には「平成紫川会」と表示されていたようだ。
「延吉派」の関係者は、懇談会には延吉氏と次期病院長候補も出席したという。「名前は言えないが、お会いして立派な人だった」と、次期病院長への期待を込める。
坂田教授、K教授に対し、懇談会への出席や次期病院長の話し合いがあったかどうかなどを確かめるために、取材を申し込んだところ、京都大学付属病院から「本院で検討させていただきました結果、誠に申し訳ございませんが取材は辞退させていただきます」との回答があった。
<新体制は現理事の使命>
小倉記念病院を開設する財団法人平成紫川会の現理事は、辞任した延吉氏を含めると6人いる。そのうち2氏は延吉氏に同調する立場をとっている。残る3氏は、延吉氏が理事長・病院長を辞任し5人が正統な理事だと考えている。「病院側」または「現理事派」ということになる。
現理事の一人は、「延吉派」の"新理事"決定について「書面で知った」と話し、1日も早い正常化をめざす考えだ。
「延吉院長はすでに辞任していると認識している。(理事会・評議員会の)招集権もなく、無効だ。現理事は、延吉院長を除いたメンバーだ。私たち現理事の使命は、次の体制確立だと思っている」。
<「後輩に話をしたい」>
別の現理事は、仲裁するために3回も延吉氏の自宅に足を運んだ。
「本人が辞めると言ったのに、撤回したり、院長は辞めるけど理事はやると言い出したり、ころころ変わる。『どうしたんだ』と本音を聞いた。2時間くらい話した」という。取材に応じた現理事の証言から、このときの話し合いを再現しよう。
延吉氏「いいところに来てくれた」
病院関係者「仲介とって復帰させてほしいという考えなのか。きれいに名誉だけ残してくれというのか」
延吉氏「いっしょに苦労してきた。申し訳ないけど辞めていく」
病院関係者「本当に辞めるのか」
延吉氏「辞める」
病院関係者「最高顧問として、病院のシンボルに残したい」
延吉氏「そうか、ありがたい。最高顧問よりも名誉顧問にしてくれ」
病院関係者はそのときのことをこう振り返る。「延吉氏の奥さんも感謝感激、『お任せします』だった。理事会で名誉顧問にしてほしい、病院の将来にも協力すると決まっていた」。
さらには、次期病院長をめぐる話をこう明かした。
「延吉氏が大学の後輩がいるから話をしていいかと言うので、個人的に先輩後輩で話をするのは構わない、でも次期病院長は理事会が候補者選定して理事会が決める、その人を選ぶとは限らんよ、と話した。ところが蓋を開けたら、後輩と個人的に話をするだけの話がころっと変わって、みんな集めて懇談会を開いた。せっかくここまで来た話がおかしくなる」
※記事へのご意見はこちら