ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

自立する地域社会

大阪維新の会 国政進出へ向け公開討論~有権者の理解求め情報発信
自立する地域社会
2012年9月10日 09:56

 9日、橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党・大阪維新の会は、国政進出へ向けて、新たに政党として旗揚げする「日本維新の会」への合流や連携を図る国会議員、首長、首長経験者らと公開討論会を行なった。
多数の報道関係者が取材に訪れた会場 この討論会は、「根底の価値観だけは絶対に一致させる。そのために、色々議論をさせてもらいながら、本当に価値観が一緒なのか、お互いに確認し合う」(橋下氏)として、「いろんな考えや人生を背負ってきた人間が集まって来た時にグループ分けをする指標」(橋下氏)とする政党綱領の「維新八策」を基に行なわれた。
 今回は、教育制度、財政、金融、経済、社会保障の各テーマについて、「維新八策」の作成に携わった堺屋太一元経済企画庁長官らの有識者から、それぞれの認識についての質問が行なわれた。午後1時から始まった議論は5時間半におよび、今回取り上げられなかった外交・安全保障などの他のテーマについては、今後週1回のペースで行なわれる討論会で意見交換する予定。

 「国民一人ひとりが自立し、互いに切磋琢磨して競争する社会」「自分の選択に対して自己責任を負う」といった方向性について、参加者たちは一致しているとの立場で意見を述べた。有識者からは、助成金事業として既得権化している学校法人や社会福祉法人、戸別所得保障制度の撤廃をふまえた農業の自立、郵政民営化、混合医療、公共事業のあり方、日銀法の改正も視野に入れた中央銀行(日銀)のガバナンスのあり方、脱原発とエネルギー政策などの政治課題にどう切り込んでいくかについて質問があった。
 松野頼久氏、松浪健太氏ら7名の国会議員からなる「道州制型統治機構研究会」からは、郵便事業の100%民営化、国会の下に行政会計を審査する組織を設置、国から補助金などを受給している法人において財務会計の情報開示を法律で義務化するといった案が示された。そのなかで、あらゆる政治課題の解決策を道州制導入に求める傾向が強い7名の意見に対し、堺屋氏から「道州制は万能とはいかない」として、約1,000兆円におよぶ国債を道州がどのように引き受けるのか、といった問題提起がなされた。

 首長や首長経験者は、それぞれの自治体における実績や経験を基に、各テーマへの見解を述べた。大村秀章愛知県知事は「教育こそ地方分権」とし、また、「多様な担い手がいるべき」として、教育、介護の分野へ民間企業が参入することに賛意を示した。中田宏前横浜市長は「子どもの自立を促すのが教育」として、文部科学省が教育委員会を管理し、教育委員会が学校を管理する現制度からの脱却という考えを示した。
 経済政策については、経済成長を目指す点で参加者の認識は一致していた。河村たかし名古屋市長は「次の経済政策を失敗したら取り返しのつかないことになる」と強調し、設備投資減税による「民間でカネが回るようにする」ことへの全力投球を訴えた。
 一方で、細かな政策の話におよぶと相違点も浮き彫りとなった。とくに「維新八策」にある国民総背番号制の導入について、河村氏「イギリスでは新政権が廃止しようとしている。導入にはものすごく金がかかってリスクがすごい。現金取引を捕捉することはできない」。高橋氏「番号がないがゆえに現金取引以外がわからない。金融機関取引をまずフォローして(歳入の)漏れをすくうことが先」など、見解の相違が見られた。
 脱原発については、核廃棄物の問題や原発コストの認識、代替エネルギーの開発などについて認識が異なるという見方があった。なお、脱原発について橋下氏から「2030年までに原発ゼロを目指す」との方向性があらためて示された。

討論会終了後、取材に応じる河村氏(左)と大村氏(右) 同討論会は、日本維新への合流・連携からなる政治グループの方向性について、公開の場において意見交換を行ない、有権者の理解を深めるという目的がある。会場には400名ほどの報道関係者が取材に訪れ、インターネットでは生中継が行なわれた。今後、会を重ねていくことで有権者への理解が深まっていくことが期待される。
 参加者同士の相互理解もある程度深まったようである。今回の討論会に先立ち、日本維新への連携へ向けて、互いに距離をおいていた大村氏と河村氏。再び、橋下氏と松井氏から関係の修復が求められ、両氏からはこの要求に応じるよう努める旨の発言があった。

 ただし、会の運営についていくつか疑問を抱く点がある。1つは、有識者の質問が最初にまとめて行なわれた点である。各有識者が語った政治課題への見解が「踏み絵」となり、国会議員・首長ら参加者側は賛意を示すだけに終わった内容も少なくはなかった。質問は簡潔に行なって自由な意見を述べさせ、それから議論を発展すべきではなかったか。2つ目は、財政・経済・金融のテーマについて、参加した国会議員に限定して質問が行なわれた点である。松野議員ら7名が担当を分けて回答するなど、「公開面接」と言えるような局面が見られた。
 さらに同討論会が2回、3回と続いていくことに対して、参加者からは「知らなかった」との声があがっていた。公務がある首長らにスケジュール調整が必要なことは当然であり、運営サイドの不手際が感じられる。日本の将来について話し合い、国民一人ひとりが各政治課題について考える有意義な討論会にするためにも、次回以降、改善が図られることに期待したい。

【山下 康太】
YouTubeで見る>>

■参加者リスト
<大阪維新の会>
橋下 徹  代表(大阪市長)
松井 一郎 幹事長(大阪府知事)
今井 豊  副代表(大阪府議)
坂井 良和 副代表(大阪市議)
馬場 伸幸 副代表(堺市議)
西林 克敏 副幹事長(堺市議)
浅田 均  政調会長(大阪府議、進行役)
大橋 一功 副政調会長(大阪府議)
福島 しんじ 副政調会長(大阪市議)
水ノ上 成彰 副政調会長(堺市議)
東 徹 総務会長(大阪府議、総合司会)

<有識者>
堺屋 太一 元経済企画庁長官
北岡 伸一 政治学者
古賀 茂明 元経済産業省大臣官房付
高橋 洋一 経済学者
上山 信一 大学教授
鈴木 亘  大学教授

<首長・首長経験者>
大村 秀章 愛知県知事
河村 たかし 名古屋市長
東国原 英夫 前宮崎県知事
齊藤 弘 前山形県知事
中田 宏 前横浜市長
山田 宏 前杉並区長

<国会議員>
松野 頼久 衆議院議員(元内閣官房副長官)
松浪 健太 衆議院議員
石関 貴史 衆議院議員
水戸 将史 参議院議員
小熊 慎司 参議院議員
上野 宏史 参議院議員
桜内 文城 参議院議員


※記事へのご意見はこちら

自立する地域社会一覧
自立する地域社会
2011年10月 3日 13:22
自立する地域社会
2011年9月16日 07:30
自立する地域社会
2011年9月15日 15:45
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル