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さとうベネック変調シリーズ(14・終)~ヤリ手弁護士を従えた意図は?
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2012年9月11日 12:00

 9月7日に民事再生法の適用申請に踏み切った、大分の名門ゼネコン・さとうベネック。渡辺弁護士の解任騒ぎから2日後という慌ただしさに、周囲からは驚くやら呆れるやらのさまざまな反応が寄せられた。
 一般的に、民事再生の申請には最低でも1週間程度の準備期間が必要となるという。申請後の手続きをスムーズに行なうために、裁判所と秘密裏に事前の打ち合わせを行なうことが多いからだそうだ。前任弁護士の下で私的再建のお願いをしながら、水面下では後任弁護士を使って法的再生の準備を進めていたとすれば、「馬鹿にされた」と取引業者が感じるのも仕方あるまい。逆に、急遽決めたのであれば、何か理由があったのかとも考えさせられる。

0911_st_2s.jpg この点について、債権者の一部が、第三者破産の申し立てと大川代表の刑事告発を目的に結集しつつあるとの情報が聞かれており、「先手を打つために民生法の適用申請を急遽行なったのでは?」との見方が浮上している。というのも、後任の田邊勝己弁護士は丸美事件(リゾート会員権や架空社債で多額の被害を出した事件)で辣腕をふるった弁護士であり、民事と刑事の両面で追及を受ける可能性のある大川代表も、たしかに金丸元社長の立場と似通っている。
 また、9月7日付でさとうベネック側から出された『民事再生申立てについて』と題されたFAXでは、「(SBIキャピタルソリューションズに返済した時点では)資金繰りに窮することは無いと経営判断されており」との説明書きが盛り込まれている。この点を、取締役の第三者責任(民事)や特別背任(刑事)を意識した書き方と捉えることもでき、先の見方を一蹴できない客観的状況があるといえる。

0911_st_1s.jpg ちなみに、「破産と民事再生では、手続きの厳しさに相当な違いがある」と実務に詳しい業界関係者は語る。破産は会社がなくなるのが前提であるため、破産管財人は厳格にチェックを施し、そこで過去の事実が暴かれることも少なくない。半面、民事再生は会社が生きていることが前提であるため、監督委員のチェックは比較的緩やかで、むしろ申請代理人の役割が大きくなるのだそうだ。そうなると、あとは弁護士の腕次第。結果、田邊氏のような辣腕弁護士にご登場願い、「先手を打つ」のだという。

 先のFAXには同社の前期業績概要も記載されており、それによると売上高76億2,600万円、経常利益9,500万円であったとのこと。事務所移転などで多少の特別損失が出るだろうが、決算前の試算表を参照しても、これが粉飾である可能性は低い。4月時点での現預金が20億円、物件の竣工にともないその後の入金は15億円以上あったはずだ。
 なぜ、これだけの収益構造と豊富なキャッシュを持つ会社が資金ショートに陥ったのかという疑問は、単に13億円の資金流失があったという一事では説明できていないように思われる。

 再建型の民事再生を念頭に置いた書き方がなされているこのFAX。債権者と従業員はこの提案をどう受け止めるのだろうか。

(了)
【田口 芳州】

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