9月7日、福岡リーダーズ倶楽部と共に、岩手ネットワークシステム30周年記念の懇親会に合流した。このとき岩手県の方から、腐敗が進んでいる"奇跡の一本松"の保存に掛かる費用約1億5,000万円のうち、まだ約1億2,800万円ほどが足りていないと聞いた。7月から募金を呼びかけているが、今集まっているのは約2,200万円だという。
翌日、"奇跡の一本松"の地を訪れた。住民たちの復興のシンボルとなるようにとの願いが込められている松はすらりと背が高く、佇む姿は美しい。最後まで波に耐え抜いた強さは、被災地のみならず全国の希望のシンボルにもなり得るだろう。
しかし、住民たちの心境はどうなのだろう。視察中、「松の保存より、住民たちの生活を先に整える方が先だろう」という苛立ちの声も耳にした。故郷の誇りを守りたいという思いがあっても、今生活に必要な部分での支援が進んでいないのであれば、希望のシンボルに目を向ける気持ちにはなれない人だって出てくるのではないか。"奇跡の一本松"を、生活者の不満を覆い隠すものとしては使いたくない。
陸前高田市は、復興支援の寄付金から保存費を貸し出したそうだ。いずれは募金から変換することになる。しかし、返還期限は定めているのだろうか、いつまでに、どうやって1億2,800円を集めようとしているのだろうか――という疑問が残る。
さらに、ついこんなことも考える。国が19兆円確保しているという被災地復興予算は、どのように使われているのだろうか――と。
奇跡の一本松は12日にいったん伐採され、保存作業に入る。再び戻ってくるときは、皆に笑顔で迎えてもらえるといい。
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