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【流通】トライアルに上場する資格はあるのか?(4)
流通
2012年9月12日 12:15

<温泉施設経営で地域住民と軋轢>
TRIAL.jpg トライアル温泉郷の開業前後に地元の住民団体との間でトラブルが発生しているが、トライアルは建築基準法などの法的問題はクリアしている。ただ、同社が温泉宿を開設するこの地は、坊ガツル湿原と共に、ラムサール条約に2005年11月登録されたタデ原湿原に隣接する。タデ原湿原を管理する阿蘇くじゅう国立公園のホームページによると、タデ原湿原は、くじゅう連山の北側の標高約1,000mに位置し、火山地形の扇状地にできた国内最大級の面積を持つ湿原である。ツクシフウロ、シムラニンジン、オオミズゴケなどの希少な植物の生育が確認されているタデ原湿原は地域の住民らが努力し、50年かけてラムサール条約の登録を勝ち取った。

 同登録を受けてから、大分県九重町の湿原から"世界の湿原"となり、ワイズユース(賢明な利用)の促進が義務付けられ、これにより地域住民は15年前から一旦中止となっていた野焼きを再開するなど、湿原保護に向けた取り組みを住民が一丸となって取り組んでいる。この地では、星空観察を行なうために水銀灯の照明を極力低く付けたり、宿泊施設及び観光施設は施設が目立たないように樹木で覆い隠すような配慮を行なってきた。

 地元の住民団体との間で起きたトラブルの発端は、トライアル側が地元住民に対して、最初に説明した事と実際に行なったことが違うことだ。見解の相違とも言えるが、トライアル側の対応に地元の住民団体はまったく納得していない。関係者の話によると、様々な改善要求の中でも(1)「当初、第一期工事で廃墟となった九重ハイランドホテルを取り壊す話だった」(2)「自然よりも自社の温泉施設の方が目立っている」(3)「水銀灯が高く設置されている」(4)「温泉排水がタデ原湿原に流れている」の4点が大きな地元住民側の改善要望である。これらを改善するために話し合いに応じてもらえなければ、トライアルが今後計画している二期工事、三期工事は絶対に承認できないという姿勢を取る。

 ここで企業体質が浮き彫りになる。激戦の続く小売業界のなかで、猛烈な勢いで出店し、近隣の競合店を駆逐することは自由競争社会において当然である。圧倒的な低価格で他社より抜きん出ることは企業努力の賜物にほかならない。しかし、タデ原湿原は地元の宝であることを忘れてはならない。

 地域の取り組みと、法的な縛りは異なるが、小売業の原点は地域の人々との共存の意識からなり、地域の人々の支えで成り立つ。地域を無視した取り組みで、果たして成功であるというのだろうか?これから国内では売上高1兆円、そして3兆円を目指し、株式上場を視野に入れる同社。一流企業の仲間入りを果たすためには、まずは地域の声に真剣に耳を傾けるのも必要ではないのではなかろうか?

(了)
【矢野 寛之】

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