小倉記念病院を開設する財団法人から無効と指摘されながらも、"神の手"を持つ天才ドクター、延吉正清氏が選任した"新理事"による理事会なる会合が開催された。正常化へ向けての道のりは、ますます混迷を極めている。
<そそくさと会場入りする姿>
9月12日、北九州市小倉北区のリーガロイヤルホテル小倉4Fの「松」。案内板には、「財団法人平成紫川会 小倉記念病院理事会」とある。6月30日で現理事の任期が切れたとして、「延吉派」が選任した"新理事"(8人)に招集がかけられたものと見られる。(済生会八幡総合病院の松股孝病院長は取材に対し理事就任を否定)
"我らこそは新しい理事会である"と言うならば、堂々たる説明やコメントが聞けると思い、リーガロイヤルホテルを訪れ、取材を敢行した。
理事会が始まる約10分前。ホテルの4Fへ向かうエスカレーターに乗る男性に記者は声をかけた。小倉記念病院の理事かと聞くと、「いいえ、違います」との回答。しかし、男性はその後、足早に理事会が開かれる会場に駆け込んでいった。この男性は「理事ではない」と偽ったのか、はたまた理事以外の関係者も招待されていたのか。
会場前に到着してしばらくすると、新理事の1人に挨拶する清原雅彦弁護士の姿があった。そこで今回の理事会の内容について尋ねると、「答えるつもりも、議論するつもりもない」という回答だった。その場に居合わせた新理事は「いまの段階ではしゃべれんこともあるでしょう」と話した。
午後5時少し過ぎに始まった「理事会」なる会合は、約1時間後に終了した。
<「プラバシーの侵害だ!」>
会場からは、延吉正清氏とそれに続いて清原弁護士が出てきた。表情は心なしか険しい。しかし、この理事会が正当なる理事会ならば、決定事項を包み隠す理由はないはずである。再度コメントを求めた。
――本日はどのような議題だったのでしょうか。
清原弁護士「話すことはない」
――正当な理事会であると言うならば、なぜ隠すのですか。
清原弁護士「まとわりつかないでくれ」
――次期院長はすでに内定しているのですか。
清原弁護士「やめてくれ。プライバシーの侵害だ!」
――清原先生のプライバシーについては聞いておりません。
清原弁護士「とにかく、これはプライバシーだ」
――平成紫川会は個人のものでもオーナー企業でもありません。財団法人なのですからプライバシーで片付けないでいただきたい。
このような問答を繰り返したが、足早にタクシー乗り場に消えていってしまった。
"新理事"による理事会が開催・成立したとすれば、理事長を選出したと思われる。また、「後任が来たら僕は辞めます」と延吉氏が語っている以上は、新理事会にとって次期病院長の選出は、重要項目に違いない。それらが決定したならば隠す理由は見当たらないのではないか。動向が注目される。
※記事へのご意見はこちら