<以前の歴代知事と親交を深めてきた経緯がある>
和田弁護士と鹿児島県との関係はかなり古くからあり、金丸三郎元知事との親交まで遡る(鹿児島県知事は金丸知事以降、鎌田要人氏、土屋佳照氏と3代続けて自治省官僚出身者。土屋氏の後が、須賀龍郎氏、伊藤祐一郎氏に連なっていく)。言うなれば、鹿児島県知事のポストは旧自治省、現総務省OBの指定ポストなのである。だから、和田氏が伊藤氏を口説いた動機は、いたってシンプル。過去の路線踏襲のために動いただけなのである。路線踏襲ということは、そこの利権にぶら下がった守旧派が数多く存在しているということだ。その代表例が植村組である。だから伊藤知事は、なりふり構わず植村組救済に走るのである。
和田弁護士が、鹿児島県の代理人として裁判訴訟を引き受けた案件を調べてみた。その調査で判明したことは、和田弁護士が鹿児島県の顧問弁護士になったのは1978年頃(鎌田知事の時代)と見られる。そうであれば、34年も顧問を担っていることになる。立場上、水面下の事案を知り得ることは容易だ。和田氏が口を閉じてくれたおかげで助かった関係者は、数多いだろう。一生頭が上がらない数多くの要人の存在が想像できる。こうして【裏ドン】の基盤が整備されていったのだが、鹿児島は何か田舎臭いな!!
鹿児島県の顧問弁護士が、知事選の立候補者に金を貸し付けることにも違和感を覚える。加えること、現職になった伊藤知事が、まだ借金を残している感覚には驚くばかりだ。『薩摩=鹿児島』は明治維新の際には【革命の先鋒隊】の大役をこなしたが、【平成維新】では反革命の主体になるのかな!!
<鹿児島の保守の大御所>
和田氏本人が意識しているかどうかは関係なく、同氏が【鹿児島県の保守の大御所】の扱いをされているのは間違いない。路線踏襲の守旧派に属していれば、甘い汁を吸える。地元の有力企業は、この【蜜吸い】に群がってくる。経営者でない和田氏は、バランス良く調整をしているようだ。県庁OBによると、「和田氏は鹿児島の保守の大御所であり、最上級の人物。官の仕事の各種委員会、諮問機関、審議会の長の肩書きがいくつもあった。彼自身が顔を出さなくても、教え子やイソ弁をメンバーに入れた」と語る。
ほかにも、新日本石油基地㈱の「喜入基地懇話会」の有識者メンバーを務めた。現在、和田育英財団理事長。前述したように「阿久根の将来を考える会」に寄付している事実がある。同氏は、竹原信一阿久根市の市長時代の政策には≪破壊者≫という憎悪感を覚えたのか、勘弁できなかったのであろう(さまざまな関与をしていた話は耳にした)。和田氏自身、知らないうちに「俺が保守本流の路線を守る」使命感に燃えるようになったと推測される。
そして伊藤知事の初戦、04年の知事選は保守分裂選挙になった。相手は自民党の下っ端の県会議員である。県医師会は伊藤陣営に付き、建設業界は2つに割れた。【保守本流=利権主流派】は危機感を抱いた。前出した県庁OBの推測によれば、「『ここは和田先生しか問題解決はできないぞ』と腹を括り、伊藤陣営の応援会長に座ってもらった」となる。「伊藤陣営への貸付金も、本人が出したのではなく、資金を工面した各企業の名前が表に出ないように代行しているのではないか」という証言もある。
どちらにしても福岡では、和田久弁護士のようにあらゆる戦線に影響を与えられる弁護士はいない。この【傑物シリーズ】に登場するにはふさわしい人物だ。
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