<主な登場人物>
1.「維新銀行」の主人公
◆堀部正道
海峡市出身。川中、北野と海峡西高の同級生。北野と同じD大卒。組合出身でもなく本部の勤務経験もないが、谷本頭取から営業店での実績を認められ取締役常盤支店長に抜擢される。「谷野頭取罷免」の動きについては、守旧派からも改革派からも情報はなく、取締役会議に出席して初めてその事態を知ることになる。
堀部は取締役会議で繰り広げられる理不尽な「谷野頭取罷免動議」を目の当たりにする。あたかも退任に追い込まれる谷野は、「吉良上野介殿中刀傷事件」で切腹を命じられた浅野内匠頭のようであった。
堀部は谷本派の役員達が谷野頭取に対して集団リンチを加えているようにしか思えなかった。義憤を感じた堀部は判官びいきの心情が芽生え、義士として谷野頭取擁護の改革派に身を投じることをその場で決断することになる。
堀部は奇しくも「高田馬場の決闘1694年(元禄7年)2月11日」で有名となり、赤穂藩士の堀部家に養子となった堀部(武傭)安兵衛と同じ境遇を辿ることになる。
2.改革派
◆谷野銀次郎
植木会長が最後に人事権を発動し取締役に任命される。その後谷本頭取の後を受けて2002年6月頭取に就任。谷本が10年間手をつけなかった不良債権を処理し赤字決算を決断。そのことが谷本との亀裂を生む発端となる。
また谷本相談役と組合幹部出身の役員達と癒着した第五生命の山上正代の維新銀行を舞台とする違法な保険勧誘を糾弾。そのことが「谷野頭取交代劇」を生む大きな原因となる。
◆石野裕士
人事部長を歴任。植木と同窓の西部大卒。守旧派の吉沢忠と西部高校の同期であるが、頭取交代劇では敵味方となる。クーデター時は専務取締役九州本部長。
◆梅原哲夫
審査部が長く上司であった栗野と懇意な関係。また谷本頭取に見出され取締役に抜擢されるが、クーデター時は審査担当取締役として谷野頭取を支える立場から改革派に身を投じた。
◆木下秀男
第18代組合委員長。H大卒。組合出身の取締役であったが、ただ一人クーデター派に加わらなかった。クーデター時は事務管理部門の担当取締役として谷野頭取を支える立場を貫いた。
◆小林辰彦
H国立大卒で維新銀行のエリートコースを歩き、将来の頭取候補の一人に上げられていた。クーデター時は経営企画部門担当役員として谷野頭取を支える立場をとった。
◆大沢明之
人事部出身。谷野頭取と同窓のN大卒。谷本頭取に認められ常勤監査に就任。クーデター派による谷野罷免の動きを聞き、議決権はないが取締役会議に出席し、谷野頭取の擁護に回る。6月の株主総会で常勤監査役を退任。
※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。
※記事へのご意見はこちら