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出水市中2女子自殺 責任の在処(3)~壊れたシャープペンシル
社会
2012年9月17日 07:00

0918_pen.jpg 亡くなった女子生徒が所属していた吹奏楽部では、5、6年前ぐらいからいじめがよくあったという。大会などで舞台に立ち、演奏をするメンバーに入るためには競争がある。同中学校の吹奏楽部は先々代の顧問(先代は12年4月に転勤)の時、高い評価を受けており、私立の他校から引き抜かれたと言われている。実力のある部であれば、競争は激しい。高いレベルを目指すためには「切磋琢磨」が必要となる。ライバル関係が衝突に発展することもあるだろう。身近な大人である顧問には、生徒間の人間関係に目を配り、適切なフォローが求められる。

 女子生徒の遺族に、事故当時の顧問は「信用がないから相談されなかった」と反省の意を示した。この点、同じ吹奏楽部の生徒などの話では「度々、自主練習になることがあった」というが、出水市教育委員会(以下、市教委)の同事故に関する調査報告書からは読み取れない。生徒間の衝突も顧問が対処していたとの記述はあるが――。

 遺品となった部活用のバックのなかから、破損したシャープペンシルが発見された。不審に感じた祖父の中村幹年さんは、器物損壊の疑いで出水署に被害届を提出した。また、「吹奏楽部の楽器を破損したとして弁償をしなければならない」と女子生徒が弟に相談していたことから、恐喝未遂の疑いでも被害届を提出している。『シャープペンシル集め』は女子生徒の趣味であった。「50本ぐらいはあったんです。棺桶に十数本を入れてあげました」(幹年さん)。形見となった壊れたシャープペンシル、その大きく開いた穴は、彼女の心の傷のようにも見える。

 「将来の夢は看護師。とても几帳面な子でした」と、幹年さんは涙ながらに語る。彼女の遺影は小学生の頃の笑顔の写真と中学生になって写真を合成して作られた。中学生になってから笑顔の写真がなかったからだ。仏壇の前に備えられた小さな2足の靴は、彼女が幼児の頃に履いていたもの。「孫が結婚する時に、プレゼントしたくてとっておいたんです」と幹年さん。もう、その時が訪れることはない。

 遺族の悲しみを知って協力者が増えている。アンケートの開示を求める署名は6千名を超えた。同問題を訴えるブログが立ち上がり、インターネット上で同事故に関する記事などを積極的に情報発信している。中嶋敏子出水市議はあす(18日)の出水市議会(平成24年第3回定例会)で、この自殺事故に関する市教委の一連の対応などについて質問を行なう予定だ。同市議会はインターネット中継で傍聴することも可能(関連リンク参照)。市側はどのような説明を行なうのか、注目される。

(つづく)
【山下 康太】

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▼関連リンク
・出水市議会(生中継)
※中嶋市議の質問は4番目。昼過ぎに行なわれることが予想される。


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